研究課題/領域番号 |
23K12310
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木村 理 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (10881485)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 埴輪 / 吉備地域 / 生産流通 / 古墳時代後期 / 吉備 / 生産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、吉備地域における巨大前方後円墳築造停止以降の埴輪生産体制の再構築を通じて、巨大前方後円墳の築造停止に伴う地域支配方式の転換、地域社会の再編の実態を実証的に究明するものである。 そのために、既往の埴輪製作技法分析に加え、SfM/MVS手法、XRF分析、X線CTなどの理化学的分析を含み込んだ、複合的・文理融合的分析を実施する。こうした複合的分析を行うことにより、これまでの研究より一段と精緻な吉備地域の埴輪生産体制を復元する。その上で、王権中枢地域出土埴輪と比較し、工人の移動実態や技術影響関係を解明する。これらを通じて、埴輪からみた王権中枢地域と吉備地域の関係性を基に、該期の中心周辺関係を問う。
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研究実績の概要 |
研究初年度である2023年度は、吉備地域における5世紀末以降の埴輪の網羅的な集成作業と、高梁川右岸における古墳出土埴輪の分析を実施した。 前者は本研究の実施に際し基礎データとなるものであり、各機関の発掘調査報告書や紀要に掲載されている資料に加えて、未報告の資料についても、所蔵機関にて資料調査を実施して資料収集に努めた。次年度以降は、この資料集成を通じてさらなる資料調査を行い、時期ごと地域ごとの埴輪編年、生産体制の復元的検討を遂行していく予定である。 後者では、倉敷市・天狗山古墳を中心として資料の全点調査を実施した。豊富かつ良好な資料が出土した当古墳に対しては、未報告資料を含む15点程度をSfM/MVSに基づいた三次元計測を実施し、資料化を図った。加えて、円筒埴輪の製作技法や製作工程の検討、同工品分析、ハケメパターン同定をはじめとするあらゆる分析を実施し、高梁川右岸域における埴輪の波及プロセスや、生産組織の編成方法などについて明らかにした。この成果については、2024年4月刊行予定の『古代吉備』第35集にて公表した。本分析を通じて、同一エリアに所在する後出の首長墳の埴輪生産との連続/非連続性や、地域内外との関係性の経時的変遷についても見通しを得ることができた。 そのほか、天狗山古墳の埴輪製作技法、生産組織の編成方法を相対化するために、王権中枢部の古市・百舌鳥古墳群の資料についても資料調査を実施し、両地域において集団編成のあり方がやや異なることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、本年度は吉備地域における5世紀末以降の資料集成、および高梁川右岸域の古墳出土埴輪の分析を実施することができた。また、後者については既に成果を公表できる段階へ達している。次年度以降も研究計画に基づいて、流域単位での分析、流域間での製品や工人の移動実態について検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は、津山盆地・砂川流域・吉井川流域の各エリアにおける埴輪生産流通動向について検討を実施する予定である。一方で、2023年度の分析を経て、吉備地域の埴輪が王権中枢部とはやや異なる時間的推移を見せることがわかってきた。したがって、生産分析に先立って、まずは編年の構築を通じて時間軸を整備することが急務となった。2024年度は各エリアを対象とした資料調査を実施しつつ、吉備地域あるいはその中での各エリアにおける埴輪編年の構築作業に取り組む予定である。
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