研究課題/領域番号 |
23K12317
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
木村 文 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (10972416)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 博物館 / ポストコロナ / デジタル化 / 質的調査 / リトアニア |
研究開始時の研究の概要 |
2020年の世界的なCOVID-19流行とそれに伴うロックダウンの影響により、博物館のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速した。閉館を余儀なくされたことにより、オンライン活動が博物館にとって唯一の社会と繋がる手段となった時期があったためである。そこで、ポストコロナ時代における、DXに伴う博物館のステークホルダーの行動がどのように変容するのかについて、この研究では着目する。調査対象は、先進的な取り組みを行っているリトアニア共和国の博物館とする。インタビュー調査とアンケート調査を行い、収集したデータを基に分析を行うことにより、ポストコロナ時代の博物館のDXに伴うステークホルダーの行動変容を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、博物館のステークホルダーのうち、博物館内の特にデジタル化に従事している職員を対象として、ポストコロナの博物館のデジタルトランスフォーメーションについて明らかにすることを目指した。具体的には、本研究課題のための現地調査を2回行い、データの収集とその分析を行った。 一度目の現地調査は、2023年9月にリトアニア共和国に渡航し、リトアニア国内各地の5館の国立博物館のデジタル化の担当職員15名に対して、COVID-19流行期とその後のデジタル化の動向について半構造化インタビューを行った。この調査の分析により、デジタル化によって博物館のリモートワークが支えられていたことが明らかになった。先行研究では、オンラインの情報発信関連の学術成果が主流であったため、博物館内の業務のDXという面においてポストコロナの博物館のデジタル化に焦点を当てた点において、重要性のある成果が出た。 二度目の現地調査では、2024年3月に首都ヴィリニュスの市立博物館6館の運営に関わる職員8名を対象として、COVID-19流行期とその後の博物館活動について半構造化インタビューを行った。この調査ではまず、対象6館の博物館のうち、2館においては、職員の入れ替わりによってCOVID-19流行期に働いていた職員は既にいなくなっていたことが分かった。これまでに発表されてきた先行研究では、COVID-19流行やそれに伴うロックダウンが行われている最中に実施されたものがほとんどであるため、こうした人員の入れ替わりによる組織内の記憶の風化があることは明示的には指摘されておらず、新たな知見をもたらす調査ができた点において学術的に意義のある調査となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、本研究課題のための現地調査を2回行い、データの収集とその分析を行った。 一度目の現地調査は、2023年9月にリトアニア共和国に渡航し、5館の国立博物館のデジタル化の担当職員15名に対して半構造化インタビューを行った。一度の目の現地調査からの帰国後、インタビュー(リトアニア語)の録音を書き起こし、英語に翻訳した上で、質的内容分析を行った。調査と分析の結果を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿する準備を行った。 一度目の現地調査の分析結果より、規模が大きく職員数が多い国立博物館についてのデータを扱うと、研究成果に偏りがでると考えた。そこで、より小さい規模の少人数で運営している博物館についてのデータを収集し分析することにした。 そこで、二度目の現地調査では、2024年3月に首都ヴィリニュスの市立博物館6館の運営に関わる職員8名を対象として半構造化インタビューを行った。二度目の現地調査からの帰国後、インタビュー(リトアニア語)の録音を書き起こしを行った。 以上の通り、本研究課題の進捗状況としては、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はまず、前年度の現地調査の成果を発表する。2023年9月に行った現地調査の結果をまとめた論文(前年度中に投稿準備をしていたもの)を学術雑誌に投稿する。また、2024年3月に行った現地調査で得たデータ(書き起こしをしたもの)の分析を行う。分析方法は、質的内容分析を用いる予定である。分析の成果は、2024年6月に開催される国内学会においてその途中経過を発表した後、論文としてまとめ、学術雑誌に投稿する予定である。 これまでに行った調査は、博物館の特にデジタル化に従事してきた職員、もしくは、博物館の運営に責任がある立場においてデジタル化に関わった職員を対象としてきた。こうした調査対象の選定は、博物館がどのようにデジタル化に取り組んできたのかについて把握する上では重要な知見をもたらすものであるものの、博物館の内部のステークホルダーについて理解するという文脈においては、偏ったデータしか得られない可能性が高い。そこで、博物館の外にいるステークホルダーについての調査を行う前に、より広く博物館の職員を対象とした調査が必要であると考える。以上を踏まえて、リトアニアの全ての博物館職員を対象としたアンケート調査を行う方針である。
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