研究課題/領域番号 |
23K12335
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
中山 穂孝 就実大学, 人文科学部, 講師 (10781502)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 温泉観光業 / 観光都市 / 占領期 / 引揚者 / 占領軍 / 占領軍キャンプ / 観光地 / 戦後復興期 / 米軍キャンプ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大分県別府市を対象に、観光研究の空白期とされる占領期における観光地の特徴を明らかにすることを目的とする。占領期において別府市から観光産業の主な消費者として期待を寄せられていた米軍兵士たちに対して、具体的に別府市や観光業者はどのような対応をとったのか。そして、観光産業を基盤とする地域社会はどのように変化したのか。これらを明らかにし、占領期の観光地の特徴を把握し、観光研究の空白期を埋めるために貢献したい。また、引揚者たちを、観光産業の停滞が続く地域社会がどのように受容し、引揚者が地域社会にどのような影響を及ぼしたのだろうか。これらの点を明らかにし、地理学から引揚研究の進展に貢献したい。
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研究実績の概要 |
本研究は、大分県別府市を対象として観光研究の空白期とされている占領期(1945~1952年)における観光地の地域的な特徴を、占領軍と観光地の関係性、観光地に流入する引揚者という2つの視点から明らかにするものである。別府市は、占領期に多くの引揚者が流入し、1945年の69,989人から1950年には93,033人に人口が増加した。そのため深刻な住宅不足という社会問題が生起した。終戦後の社会経済的な混乱が続き、観光産業が停滞しているなか、どのようにして別府市に多くの引揚者が流入したのだろうか。また、占領期は、戦争によって停滞していた観光産業の復活のため、中央政府が中心となり国際観光事業を推進した。この国際観光事業の対象の1つが占領軍兵士であった。別府市には1946~1957年まで占領軍キャンプがあり、多くの占領軍兵士たちが居住していた。彼らの存在は、占領期の別府観光の復活にどのような意味をなしたのであろうか。これらの問いが本研究の出発点である。 2023年度は、国立公文書館や国立国会図書館、大分県立公文書館において、終戦後に大分県に大陸から引き揚げてきた人々の属性や多くの引揚者を受け入れた別府市行政と地域社会の対応、1946~1957年に設置されたキャンプ・チッカマウガに関する資料(公文書や新聞記事など)の収集を進めた。その成果として主に次の2点がある。 第1に、別府市に流入した引揚者の属性(氏名・終戦時の住所・現住所・現在の職業と勤務先、世帯員の状況など)は、引揚者在外事実調査票から詳細に把握することができる点がわかった。別府市に流入した引揚者に関する調査票を2024年以降整理し、分析する。第2に、キャンプ設置後、別府市行政が主体となって街娼の検挙の強化や街娼婦実態調査が実施された点である。街娼婦実態調査の結果についても収集することができ、2024年度以降、調査結果をまとめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国立公文書館や国立国会図書館、大分県立図書館における資料調査は順調に進んでいる。満州国の主要都市である新京市や奉天市、哈爾浜市からの引揚者に関する引揚者在外事実調査票は収集済みである。また、キャンプ・チッカマウガの設置経緯や地域社会に与えた影響に関する資料は、大分県立公文書館で調査を進めているが、キャンプの設置経緯や別府市行政の対応に関する具体的な資料はまだ発見できておらず、2024年度以降の課題としたい。国立国会図書館で、占領期の新聞記事(大分合同新聞などの地元紙)の収集を進めており、2024年度以降も継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度から引き続き、国立公文書館や国立国会図書館、大分県立公文書館において資料収集を実施するとともに、別府市役所に保管されている公文書の調査も実施する。別府市役所には、引揚者の流入やキャンプ設置に対する別府市行政の対応に関する公文書や資料が保管されていると思われ、それらの収集を進めたい。また、2023年度に各所で収集した資料の整理・分析を進め、2024年度中に地理学系の学会にて成果を公表したい。
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