研究課題/領域番号 |
23K12349
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
瓜田 理子 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (20812712)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 神楽秘曲 / 微音 / 天照大御神 / 天皇の即位 / レジリエンス / 人長舞 / 大礼 / 伊勢神宮 |
研究開始時の研究の概要 |
神楽秘曲と人長舞の秘舞は宮廷音楽の奥秘として平安時代に成立して以来、幾多の存亡の機を乗り越え、現代も令和の大礼と神宮式年遷宮にて奏楽されている。他の宮廷音楽の秘曲は悉く散逸・途絶したが、なぜ秘蔵性と本義を保持し存続するという高いレジリエンスを保っているのか。 本研究では、神楽秘曲を「予期せぬ撹乱が起ころうとも必要な適応をしつつ機能し続けるシステム」と捉え、社会生態学的レジリエンス理論に依拠し、音楽文化の変容と継承の理論構築を試みる。具体的には、①室町後期と戦国時代の継承危機、②近世の継承の安定化、③明治維新と近代化、④敗戦の衝撃、にどのような戦略が講じられたのかを追跡し、継承原理を抽出する。
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研究実績の概要 |
本年度(2023)は、海外における研究成果発表を中心に行なった。ふたつを予定していたが、ひとつは、北米に拠点を置くSociety for Ethnomusicology(民族音楽学会)主催の第68回国際大会において、Changing to Stay the Same: The Emperor’s Silent Serenade to Amaterasu Omikami, Japan という題目で研究発表を行なった。内容は、平安後期から宮中で奏楽されてきた神楽秘曲の長期的存続のレジリエンスの特徴をとらえるために、4つの問いを立て、文献資料や関係者への傾聴式聞き取りをもとに検討した。4つの問いは、①微音の奏楽がなぜ天照大御神への究極の捧げ物となるのか、②神楽秘曲の奏楽がなぜ天皇の即位の正当性を確立するのか、③歴史的に神楽秘曲を継承してきた貴族から、現在の継承者の宮内庁の楽師へと受け継がれている考えや思いはどんなものなのか、④絶え間なく変化し続けるグローバル化している社会において、何が神楽秘曲の未来への存続を確保するのかである。もうひとつ参加予定だった国際学会は、イスラエルのヘブライ大学・テルアビブ大学・イスラエル博物館共同主催で11月14日から16日に開催予定であった国際会議Global Easts: Japanese Cultural Entanglements である。基調講演の依頼を受け、民族音楽学者として、雅楽・神楽秘曲とインドの伝統音楽を比較する内容のアブストラクトを提出し、招聘準備が進んでいた矢先、10月7日の紛争のため、延期となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた人長舞の舞譜の調査など一部文献調査が遅れている。理由は、再延長した科研課題番号18K12602「大礼と神宮式年遷宮からみる神楽秘曲の基礎的研究」の最終年度と重なったことと、イスラエルで開催予定だった国際学会(紛争で延期)の基調講演の依頼を受け、準備をしたためである。
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今後の研究の推進方策 |
特定している室町後期と戦国時代の関連資料を精査し、相伝の年譜を作成する。令和6年10月14日と15日にポーランドのワルシャワ大学で開催される第18回国際研究大会において、Religions in JapanーThe Heritage of the Past and Contemporary Challengesの基調講演を行い、学術パネルで成果を発表する予定である。
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