研究課題
若手研究
本研究は、アフリカにおいて植民地期に創造された伝統的権威と近代国家との緊張関係を、牧畜民の「祖先の土地」が生成される過程から探る民族誌的研究である。調査対象は、南部アフリカのナミビア共和国に暮らすヘレロ語話者の牧畜民である。具体的には、近年彼らの伝統的権威が活発に行う「祖先の土地」返還請求に注目し、人々のコスモロジーと絡み合う特定の場所をめぐるローカルの概念が、西洋近代的な所有概念にもとづく先住権という単一の論理にいかに修正されゆくのか、「祖先の土地」が生成される過程を描き出すことを目的とする。