研究課題/領域番号 |
23K12351
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
宮本 佳和 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (10912412)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジェノサイド / 返還 / 祖先観念 / コスモロジー / 場所 / 所有 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカにおいて植民地期に創造された伝統的権威と近代国家との緊張関係を、牧畜民の「祖先の土地」が生成される過程から探る民族誌的研究である。調査対象は、南部アフリカのナミビア共和国に暮らすヘレロ語話者の牧畜民である。具体的には、近年彼らの伝統的権威が活発に行う「祖先の土地」返還請求に注目し、人々のコスモロジーと絡み合う特定の場所をめぐるローカルの概念が、西洋近代的な所有概念にもとづく先住権という単一の論理にいかに修正されゆくのか、「祖先の土地」が生成される過程を描き出すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、アフリカにおいて植民地期に創造された伝統的権威と近代国家との緊張関係を、牧畜民の「祖先の土地」が生成される過程から探る民族誌的研究である。調査対象は、南部アフリカのナミビア共和国に暮らすヘレロ語話者の牧畜民である。具体的には、近年彼らの伝統的権威が活発に行う「祖先の土地」返還請求に注目し、人々のコスモロジーと絡み合う特定の場所をめぐるローカルの概念が、西洋近代的な所有概念にもとづく先住権という単一の論理にいかに修正されゆくのか、「祖先の土地」が生成される過程を描き出すことを目的とする。 初年度は「祖先の土地」返還について議論を中心的におこなう伝統的権威の首長位の継承をめぐる対立が続いていたため、文献調査に比重を置いた。伝統的権威の形成過程について文献の検討をすすめながら、「祖先の土地」返還をめぐる論争についてこれまでの民族誌調査をもとに発表をおこなった。参加者からさまざまなご意見をいただき、思考の流れを整理することができた。この過程の中で、「祖先の土地」返還をめぐる議論は、ドイツ植民地期のジェノサイドをめぐる謝罪や賠償交渉、そして近年西欧の博物館から返還される遺骨や遺物の取り扱いの議論と結びついていることに気づいた。特に後者については、年度内にナミビアを支配していたドイツと南アフリカの博物館で特別展や国際プロジェクトのイベントが開催されたため、参加し、参加者らと交流を深め、ネットワークを広げながら、返還の議論について双方の国の文脈から検討した。 年度内の研究成果としては、祖先のとらえ方の前提となる、ヘレロをはじめとするヘレロ語話者の生と死についてのコスモロジーについて、機関誌の解説文や事典項目が刊行された。また、「祖先の土地」返還の議論は、上述のように現代ナミビアの国政と強く関わっているため、ナミビアに関する時事問題を短報としてまとめ、所属先のウェブサイトで発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主なインタビュー対象である伝統的権威の各党派の関係者が、新型コロナウイルスで相次いで急逝し、継承をめぐる対立が続いているため、本研究が重点を置いているフィールドワークの計画を後ろ倒しにした。しかし、文献調査や「祖先の土地」返還をめぐる国際関係について検討をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、新型コロナウイルス感染拡大の様子と継承者をめぐる対立の状況を見ながら、フィールドワークを本格的に実施することを計画している。万が一、フィールドワークが困難な場合には、現地の状況を見つつ、オンラインでインタビューなどをおこなうことで研究を進めていきたいと考えている。
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