本研究の目的は、憲法学者上杉慎吉の学問のあり方を、史料の網羅的収集を通じて実証的に解明することである。上杉は、師である穂積八束と同じ「天皇主権説」の担い手と見なされ、「天皇機関説」を唱えた美濃部達吉の対戦相手としてのみ長らく位置付けられていたが、近年ではそのような見方が覆されつつある。しかし、上杉の学問的活動を史料的に解明することは今日に至るまで試みられておらず、その全容は未だに不明である。そこで申請者は、これまで活用されてこなかった史料や未調査の史料を利用しつつ上杉の学問の全体像を把握することを目指す。
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