研究課題/領域番号 |
23K12358
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
中野 万葉子 西南学院大学, 法学部, 准教授 (10761447)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 後期スコラ学派 / 近世自然法論 / 原状回復 / 約束 / グロチウス / 所有権 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、スペインの後期スコラ学派がグロチウスを経由して近世自然法論、さらには近代私法にきわめて重要な影響を及ぼしたことを明らかにすることにある。具体的には、グロチウスが自身の『オランダ法学入門』において、後期スコラ学派の原状回復(restitutio)論を継承しつつ、絶対的所有権概念を基礎とする私法体系のなかで、債務の発生原因として「約束(toezegging)」と「不均衡(onevenheid)」(不当利得および不法行為)を挙げ、近代法典にも採用される契約およびその他の発生原因という分類を基礎づけたことを解明する。
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研究実績の概要 |
スペインの後期スコラ学派がグロチウスを経由して近世自然法論、さらには近代私法にきわめて重要な影響を及ぼしたことを明らかにするという本研究の目的に照らし、グロチウスが自身の『オランダ法学入門』(1631年)において、後期スコラ学派の原状回復(restitutio)論を継承しつつ、絶対的所有権概念を基礎とする私法体系のなかで、債務の発生原因として「約束(toezegging)」と「不均衡(onevenheid)」を挙げ、近代法典にも採用される約束およびその他の発生原因という分類を基礎づけたことを明らかにする必要性があることを研究計画書において示した。 上記分類の基礎を明らかにすべく、グロチウスの『オランダ法学入門』における「不均衡」の特徴を把握するため、文献を収集するとともに、それらを分析・検討するなどの研究を進めてきた。具体的には、「不均衡」では、所有権に基づく返還義務を基礎とする不当利得、権利侵害を成立要件とする不法行為に加えて無名契約が説明されることを明らかにした。また、この点についてはレッシウスの原状回復論の影響があることを解明するとともに、グロチウスの「約束」概念にも着目する必要があることを明らかにした。 今年度は、当初予定していた国内および国外(ドイツ)での関連資料の収集が実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の1年目にあたる2023年度の研究については、研究遂行のなかで新たな検討の必要性が生じたことに伴い、当初予定していた形で進められていない。具体的には、グロチウスの債権の発生原因である「約束」と「不均衡」について、その特徴をより詳細に明らかにする必要があった。次年度も引き続き、2023年度に予定されていた研究を進める必要があるため、当初の研究計画書に照らして遅れていると評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目にあたる2024年度については、前年度の研究課題を継続して進める予定である。前半では、グロチウスの『オランダ法学入門』の体系配列、所有権の意味および位置づけを確認するとともに約束について考察する。後半では、後期スコラ学派に属するソト(Domingo de Soto, 1494-1560)の主要著作『正義と法について(De iustitia et iure)』における原状回復論の特徴を考察する。具体的には、所有権概念、原状回復論、合意の位置づけを考察することによって、『正義と法について』の『オランダ法学入門』への影響を明らかにする。
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