研究課題/領域番号 |
23K12364
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
前硲 大志 山口大学, 経済学部, 准教授 (50845336)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 憲法 / 議会法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、審議参画権など憲法に明文がない議会内部における議員の諸権利の憲法的保障 につき、その根拠・射程と司法的実現可能性を考究するものである。より具体的には、憲法の観点からの議論の蓄積が豊富なドイツ連邦共和国での具体的な規律や判例・学説を参照したうえで、日独比較により、日本国憲法のもとでの議会内部における議員の諸権利の憲法的根拠とその射程を解明する。そして、その憲法的根拠と議院自律権との調整を改めて検討することにより、議会内部における議員の権利保障の司法による実現可能性を拓く。
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研究実績の概要 |
まず、「議員の副業・副収入規律の憲法的論点(2・完)―議員の独立性の観点から―」山口経済学雑誌72巻1号83-110頁を公表した(本論攷は、前年度末に公表した論攷「議員の副業・副収入規律の憲法的論点(1)―議員の独立性の観点から―」続編にあたる)。本論攷では、2021年改正後のドイツ連邦議会議員法の規律内容について、制定過程における連邦議会での議論をも踏まえて整理・紹介したうえで、ドイツ連邦憲法裁判所の判例の判断枠組みに照らして、同改正後の規律内容の合憲性を検討している。本論攷は、議員の独立性という観点から、議員に対して及ぼされる規律の合憲性を検討するものであり、議員の権利の憲法的根拠づけを検討する本研究の一環をなしている。 次に、「与党と野党」と題する論攷を、法学館憲法研究所Law Journal第29号120-141頁にて公表した。本論攷では、「与党」・「野党」という概念が日本国憲法のもとで有しうる規範的意義について、日本国憲法における少数派・多数派の位置づけを踏まえつつ、議会における妥協による多数派形成という視座から検討を施した。本論攷の検討によれば、与党・野党という概念が日本国憲法のもとで有しうる規範的含意は、何らかの憲法ランクの法益に関してそれらの概念によって記述される問題状況から、与党・野党の別に着目した議員の別異取扱いの正当性が導かれうるという点にあるということができる。また、本論攷との関係で、「憲法上の与党・野党論の覚書」と題する口頭発表を、北部九州公法若手研究会で行った。これらの論攷・発表は、日本国憲法を前提にしているが、与党・野党という議員の所属が有しうる憲法規範的意義を検討するものであり、また、与党・野党という区分が日独の議会で共通するため、ドイツ連邦議会議員の権利(例えば野党議員の優遇などの可能性)の憲法的根拠を検討する際の比較材料と位置づけられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画において、1年目は、ドイツ連邦議会における議員の諸権利がどのようにして憲法に根拠づけられるかを明らかにすることとされている。この点に関して、ドイツ連邦憲法裁判所の判例(BVerfGE 80, 188; 96, 264; 102, 224; 112,118; 140, 115など)や関連文献を分析・検討することを予定していたが、判例については検討が進んでいる一方で、関連する先行業績の検討にやや手間取っている状況にある。また、年度末に所属研究機関を異動したため、研究拠点の整理・移転といった作業にも時間を割かざるを得なくなった。それゆえに、1年目の研究対象として予定していたテーマについて、真正面から検討する研究成果の公表には至っていない。もっとも、2023年度の研究成果として公表した論攷はそれぞれ、ドイツ連邦議会議員の諸権利の憲法的根拠を検討する一環をなしており、いわば外堀を埋めるかたちで、研究の進展を公表することはできている。以上の理由から、現在までの進捗状況は「やや遅れている」状況にあるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、1年目に予定していたドイツ連邦議会議員の諸権利の憲法的保障の根拠に関する研究を継続する。特に、このテーマに関係する先行業績の読解と整理・検討を行い、研究成果を公表することとしたい。 また、これと並行して、2年目に予定してたドイツ連邦議会議員の議会内部における権利の憲法的保障の射程に関する研究を進める。ここでも、ドイツ連邦憲法裁判所の判例および関連する学説上の議論を整理・分析・検討する。このテーマ(「憲法的保障の射程」)は、1年目に予定していたテーマ(「憲法的保障の根拠」)を前提とし、これと密接に連関するものであることから、1年目のテーマに関する研究成果の公表に続けて、2年目のテーマに関する研究成果も公表することを目指す。 加えて、これらの研究テーマについて通暁するベルリン・フンボルト大学のCh. Waldhoff教授が9月に来日予定となっていることから、同教授へのインタビュー調査も実施することを計画している。
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