研究課題/領域番号 |
23K12366
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
堀 治彦 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (80911388)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 国際租税法 / 租税法 / 国際課税 / 国際的二重課税 / 租税政策 / 国際租税改革 |
研究開始時の研究の概要 |
多国籍企業の租税回避や経済のデジタル化を背景に、国際租税のルールは変革の局面を迎えており、OECD/G20などの広範なフォーラムによる国家間合意に相反して、課税権の拡大を要求する国々の中には独自措置を国内税制に導入する例が散見される。これら独自措置はこれまでの国際租税法が想定していなかった課税関係を生じさせ、既存の租税条約及び国内法が予定していた国際的二重課税の排除が機能せず、納税者・行政当局の法的予見可能性を損なうおそれがある。 本研究は国際的二重課税排除の理論的枠組みを比較法及び租税政策の観点から検討し、変容する今日の国際租税法の枠組みを探求するものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は本研究課題の研究初年度に該当する。2021年10月のOECD/G20における国際租税に関する大規模な合意の影響を踏まえた変容する国際租税法の枠組みを考察するため、実施計画の通り、文献資料等の収集を進め、研究のサーベイを広範に行った。 成果として、①マギル大学(カナダ)において行った報告"How Japan Reacted to Changes in International Taxation: Focusing on the Responses of Japanese Companies"と、②税務会計研究学会第35回全国大会特別委員会中間報告で行った「事業体とグローバル・ミニマム課税―多様な事業体の判定を中心とした検討」などの複線的な報告を行うことができた。 前者は、国際課税制度の変容等により、日系多国籍企業がどのような影響を受けるかという観点から検討を試み、国際課税制度が変容するにあたって税負担の多寡についての影響を懸念する他国の多国籍企業とは異なり、事務負担の観点からの懸念が散見されることなどを指摘した。後者は、前述の国際合意を受け、各国諸制度の再構築が進むなかでわが国においても国内法制化されたグローバル・ミニマム課税について検討を試みた。とりわけ、グローバル・ミニマム課税の観点から事業体がその適用対象となるか否かという部分において問題関心を寄せた。 本研究のコアとなる各国の課税権の理論的検討においては、国際的二重課税排除のソリューションのひとつと目される多国間条約の条文案とコメンタリが2023年10月に公表されたものの、国際合意が難航し、実施スケジュールが不透明になっている。この論点については、海外出張等による情報収集を踏まえ、2024年度において検討報告を行い(報告済)、論考を専門誌に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実施計画の通り、文献収集やサーベイを行い、かつ複線的な検討を行うことができたこと。国際会議への参加等も踏まえ最新の国際租税改革の動向をフォローし、不透明な改革のスケジュールを考慮しつつも、その検討・分析などのアウトプットに着手できたことから上記の進捗状況区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要でも言及したように、国際的二重課税排除のソリューションのひとつと目される多国間条約の条文案とコメンタリが2023年10月に公表されており、かかる検討分析を進め、段階的に論文執筆などのアウトプットへ繋げるフェーズに移行する。他方で、国際租税改革の潮流においては、多くの関連する論点が散見されるため、本研究のコアとなる論点に加え可能な限り検討を行う。
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