研究課題/領域番号 |
23K12369
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
笛木 淳 摂南大学, 法学部, 講師 (00881377)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ドイツ連邦財政制度 / 財政法 / 混合財政 / 地方財政法 / 地方自治法 / 特的補助金 / 憲法 / ドイツ連邦制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ドイツ連邦財政制度を対象とし,混合財政の例外である「連邦財政援助」および「共同任務」について,学説が協働的連邦制というコンセプトによって如何に理論的に基礎づけたか,学説・判例がこれらの制度についてどのような限界を導出したかを解明する。その上で,ドイツ連邦制に関するこれらの連邦制論が,日本の地方自治論へも接合可能であること示す。
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研究実績の概要 |
本研究は、地方自治体に対する国による特定補助金の交付(混合財政)の憲法上の根拠、およびその限界を解明し、これにより,地方自治を財政面から確立することを目的とする。比較対象は,ドイツ連邦財政制度における混合財政禁止の例外となるドイツ基本法上の仕組み(「連邦財政援助」および「共同任務」)であり,これらの仕組みの連邦制論における理論的基礎づけ,および憲法上の枠づけの内容の検討も行う。 本年度は,まずドイツの制度を優先し、(1)連邦財政援助および共同任務が1969年の基本法改正時に導入された背景およびその理論的根拠、(2)連邦財政援助および共同任務を限界づける憲法上の根拠の2つについて分析を行った。 まず(1)について、協働的連邦制論の分析を行い、連邦(中央政府)と州(地方政府)における「協働」の観念が、連邦の州に対する特定補助金の理論的根拠とされていることを明らかにした。次に(2)特定補助金の交付に際して、条件等を付けることや、その使途について州の下級官庁に直接資料を請求することは、連邦制原理から原則として禁止され、例外は基本法における明文の根拠がある場合にのみ許容されることを明らかにした。 以上、本年度は、ドイツ連邦制における連邦による州への特定補助金交付の憲法上の根拠およびその限界を明らかにした。これらの成果は9月に高田篤追手門学院大学教授が主催する憲法学の研究会において2023年度に報告した。その成果は、2024年度中に報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、(1)ドイツ連邦制論からの特定補助金の基礎づけを明らかにすること、(2)その限界を明らかにすることが主たる目的であり、概要にも示したように、これらの点に関する理論的分析は一応完了し、研究会報告を行った。もっとも、論文としてまとめ、公表するには至らなかったため、2024年度中に早急に公表するべく、準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、まず、(1)本年度の研究で明らかにしたドイツ連邦財政制度に関する理論が、具体的にどのように特定補助金の制度として具体化されているのかを明らかにする。具体的には、特定補助金の種類や、そこにおける連邦から州への具体的な介入手段とその規律がどのように制度的に具体化されているのか、である。 次に(2)我が国の地方財政制度に対して、ドイツの理論および制度が具体的にどのように応用可能かを明らかにする予定である。とくに、連邦制と地方自治では理論的に国家構造が異なるため、日本の地方公共団体の自治財政高権に関する議論および地方財政法(特に9条以下の経費配分に関する諸規定)の分析を進め、ドイツの連邦制理論と機能的に等価な地方自治理論とはなにかを明らかにする予定である。
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