研究課題/領域番号 |
23K12376
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
越智 萌 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (30837323)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 侵略 / 国際刑事裁判所 / 賠償 / 法益 / 国際平和 / 中核犯罪 / 被害 / 侵略犯罪 / 保護法益 / 国際法 |
研究開始時の研究の概要 |
ジェノサイドや人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪といった国際法違反の犯罪は、中核犯罪と呼ばれ、国際法制度においてその他の犯罪とは異なる特別な扱いを受けてきた。しかし、なぜ中核犯罪だけが特別な扱いを受けるのか、という、国際法学における理論的・規範的説明に関する研究は、依然途上にある。この問題のうち、特に議論が錯綜しているのは、中核犯罪の「被害」概念の特殊性に関する論点である。そこで本研究では、中核犯罪の被害の特徴とは何か、という、国際刑事司法によって達成されるべきは何なのか、救済されるべきは誰なのか、という規範的問いとつながる問題を研究する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、中核犯罪の特別性の問題に対する新たなアプローチとして、中核犯罪の「被害」の特徴に着目した研究を行うことにある。本年度は、侵略犯罪の被害の性質を主題とした。他国の主権の侵害という侵略犯罪は被害者のいない犯罪とされるが、他方で侵略犯罪はそれ自体が国際の平和と安全に対する犯罪であるとされることについて、そこでの被害とは何かという問題について研究した。 本年度は、侵略犯罪概念の形成と解釈、法益論に関する理論・判例分析として、文献調査と国際連合安全保障理事会決議、およびウクライナによる侵略犯罪訴追の分析を行い、研究報告「侵略犯罪の被害概念とその帰結」を行った。この研究報告では、侵略犯罪の法益として、平和、主権、人権の3つの説があることと、それらの意義や問題点を明らかにしたうえで、ロシア・ウクライナ戦争の文脈においては、主権の法益が主に主張されていること、まあ、他の法益をとる場合には、その他の国際法制度との整合性の点で問題が生じることを指摘した。また、被害者学の視点での国際刑事裁判所(ICC)の判例研究の結果と比較し、ICCでの侵略犯罪被害者の範囲について研究報告「The Beneficiaries of Reparation for the Crime of Aggression before the International Criminal Court: A Transformative Approach」を行った。本研究報告では、侵略犯罪の場合に、どのような主体が賠償の受益者となるかについて検討した。結果として、国際社会を代表する国際機関、被侵略国、および被侵略国国民だけでなく、侵略国の国民も一定の場合に受益者となること、および侵略国国民も、変革的な賠償であれば受益者となるべきであることを主張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究の射程として、中核犯罪のうちの侵略犯罪を主題とし、侵略犯罪の法益論についての整理、および侵略犯罪の被害者の範囲について研究し、2つの研究報告として発表することができた。いずれも論文の草稿としてまとまっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果は論文の草稿としてまとめているため、次年度の課題と並行して出版手続きを進める。 そのほかは、研究計画通りに進める。
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