• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

学際的分析に基づく自己負罪型司法取引の最適化

研究課題

研究課題/領域番号 23K12386
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分05050:刑事法学関連
研究機関愛知学院大学

研究代表者

大角 洋平  愛知学院大学, 法学部, 講師 (10923542)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード取調べ / 黙秘権 / 司法取引 / トラウマ / トラウマインフォームドアプローチ / 刑事訴訟法 / ゲーム理論
研究開始時の研究の概要

本研究では、刑事法学・経済学・心理学が提示する各知見をゲーム理論に基づき集約し、自己負罪型司法取引の最適化にむけた制度提案を目的とする。意思決定に着目する各分野(心理学、経済学等)をゲーム理論モデルで融合し、当該モデルが予測する帰結を、刑事法学が提示してきた観点から評価することを通じて、司法取引制度の最適化に向けた制度設計を試みる。

研究実績の概要

本研究の目的は、刑事法学・経済学・心理学の各知見を参照することで被疑者・被告人の意思決定を分析し、自己負罪型司法取引の制度設計を試みる点にある。司法取引には様々なプレイヤーの多種多様な利害得失と意思決定が関わる。その構造を紐解くことで、自己負罪型司法取引の最適化を図ろうとする。
初年度である2023年度は、被疑者の意思決定分析に注力し、被疑者の心理的状況を研究した。具体的には、被疑事実それ自体が被疑者にとってトラウマ体験である場合の取調べのあり方を考察した。児童虐待死が典型例のように、被疑者は、犯人性を問わず、子どもが亡くなったというトラウマ体験をする。そのトラウマ体験とトラウマ反応が原因で、被疑者が有する各種権利の理解度が低下し、その権利行使が困難になる場合が生じる。それは取調べに対する規制メカニズムが稼働しない状態をもたらす。更に、被疑者は一種の混乱状態に陥り、供述に関わる利害得失判断に歪みが生じる可能性がある。それは虚偽自白等の歪んだ供述を採取することに繋がる。そのようなトラウマ反応への応対として、トラウマインフォームドな取調べ制度が必要であることを示した。
これまで被疑者のトラウマ体験の影響を考慮した取調べ制度というのは考えられてこなかったが、本研究は、そのような欠落していた視点を取り上げ、改善案を提示した点に意義がある。さらにこの研究は、被疑者・被告人の権利保障が十分なものかどうかをトラウマというレンズを通じて分析しなければならないことを示す点で、射程の広い研究といえる。自己負罪型司法取引を設計するにあたっても、被疑者の心理的状態を考慮しなければならないことを示唆する点に、本研究の重要性が見いだせる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度においては被疑者の心理学的分析を並行しながら、司法取引のゲーム理論モデルを構築し、完全ベイジアン均衡を導出した。研究上の大きな課題であったゲーム理論モデルが構築できたため、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、司法取引のゲーム理論モデルをもとに、経済学実験・心理学実験を行うことでモデルを検証・拡張していく予定である。人はどのような場合に嘘をつきやすく、真実を伝達するようになるのかについては、経済学実験・心理学実験が存在している。もっともこれら実験のいくつかは、刑事司法という文脈から外れているものである。そこで先行研究が採用した実験方法を司法取引の文脈に落とし込んでいき、研究を進展していく。そのような研究をもとに、ゲーム理論モデルを精緻なものへと仕上げていく予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 身体拘束中の被疑者に対するトラウマインフォームドな供述採取制度の検討2024

    • 著者名/発表者名
      大角洋平
    • 雑誌名

      愛知学院大学論叢(法學研究)

      巻: 65(1・2) ページ: 87-114

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi