研究課題/領域番号 |
23K12388
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
清水 拓磨 立命館大学, 法学部, 准教授 (50961926)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 証人テスト / コーチング / 録音・録画 / 可視化 / 参考人取調べ / えん罪 / 協議・合意制度 |
研究開始時の研究の概要 |
刑事裁判では証人から正確な証言を引き出すことが重要となる。その関係で注目すべきが証人テストである。現在の日本では、証人テストに対する規制が十分に存在しない。検察官は毎日証人と会って、証言内容を打ち合わせることもできる。しかし、心理学研究が明らかにしたように、人の記憶は外部的な影響によって変化し得る。とすれば、たとえ事後的に証人審問の機会が保障されるとしても、事前に検察官によって記憶固めがなされれば正確な証言を引き出せなくなるおそれがある。こうした問題を踏まえ、アメリカでは証人テストに対する録音・録画の義務化が議論されている。本研究では英米の議論を分析し証人テストに対する法的規制を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、第一に、証人に対するコーチングの意義を明らかにするため、アメリカ法の文献研究を実施した。その結果、アメリカの研究者によって指摘されるように、コーチングには4つの類型が存在することが明らかとなった。この整理において特に重要なのは、証言を変える認識のないコーチングや、証言を変える認識があるが虚偽証言を行わせる意思のないコーチングが存在し、その規制が難しいことである。 第二に、現在のアメリカにおける証人テストに対する法的規制を明らかにするため文献研究を実施した。その結果、American Bar Associationの法律家職務模範規程(Model Rules of Professional Conduct) や刑事司法基準(Criminal Justice Standards for the prosecution)といった規制はあるものの、証言を変える認識のないコーチングや、証言を変える認識があるが虚偽証言を行わせる意思のないコーチングに対する明確な規制が存在しないことが明らかとなった。 第三に、アメリカにおける課題と改革提案を明らかにするため文献研究を実施した。現在のアメリカでは、仮にコーチングが行われたとしても、事後的な証人尋問によって対応できるという考え方がとられている。しかし、証人に対するコーチングは密室で行われるため、不正な働き掛けがあったことを示す証拠が通常存在しないという問題がある。そこで、近時、証人テストに対する録音・録画を求める提案がなされている。その機能は、可視化によってコーチングを抑止するとともに、事後的な検証可能性を確保することにある。 以上の通り、近時のアメリカでは、証人テストに対する法的規制として、録音・録画が注目されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、証人テストに対する法的規制を明らかにし、誤った証言による誤判・冤罪を防止することにある。研究手法としては、比較法的手法を採用し、アメリカ、イギリス、カナダの規制を明らかにすることを目指している。 2023年度は、①証人に対するコーチングの意義を解明すること、②アメリカにおける証人テストに対する規制を明らかにすることを課題に設定した。①を課題に設定したのは、日本においては既に証人に対するコーチングが許されないという理解が存在するものの、禁止されるコーチングの意義が必ずしも明らかではなく、このような状況では実効的な規制を行うことができないと考えたからである。②を課題に設定したのは、アメリカでは日本と同様に証人テストの実施が許されており、それに規制を加えるという方法が採用されているため、示唆に富むと考えたからである。 文献研究の結果、1990年代から現在に至る多くの外国語文献を発見することができ、①②ともに明らかにすることができた。その研究成果は、「証人テスト(と参考人取調べ)に対する録音・録画(1)(2・完)」という論文にまとめて公表した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、アメリカ法の調査に加え、イギリス(イングランド及びウェールズ)法の調査を本格的に進めていく。アメリカでは、日本と同様、証人テストの必要性が強く認識され、規制の内容もソフトなものになっている。これに対して、イギリスの規制は厳格であるという評価が一般的である。本研究では、このようなイギリスの証人テストに対する規制を明らかにすることを目指す。具体的には、文献研究を行うが、まず参考になるのが、バリスター規制委員会(Bar Standards Board)の行為準則(Code of Conduct of the Bar of England and Wales)であろう。また、近時の動きとしては、Pre-Trial Witness Interviews Code of Practice(2008)が重要であろう。これらの文献だけでなく、Witness Interviewsに関するイギリスの論文を網羅的に調査する。
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