研究課題/領域番号 |
23K12404
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鳥飼 将雅 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10909972)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 権威主義体制 / 地方政治 / ロシア / ウクライナ / 選挙 / 政党 / 競争的権威主義体制 / モルドヴァ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ロシア,ウクライナ,モルドヴァの旧ソ連圏の3国における政治過程を比較することで,競争的権威主義体制における地方統治と体制の安定性の関係を明らかにする.フィールドワークを中心とした定性的研究と観察データを用いた計量研究,サーヴェイ実験を用いた計量研究を組み合わせることで,従来の理論研究の枠にはとどまらない生の政治に基づいた理論の構築と,その理論の妥当性を示す実証的根拠の提示を同時に行う野心的な研究である.
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研究実績の概要 |
ロシア,ウクライナの地方政治研究に関して,計量研究を進めた.ロシアに関しては,油本真理氏(法政大学教授)と共同でロシア連邦中央選挙委員会のウェブサイトのデータをもとに,地方議会選挙の候補者と選挙結果に関する包括的なデータセットを構築した.このデータセットは,2003年から2023年という長期にわたって,ロシアの80を超える地方の候補者と選挙結果に関する情報を網羅した,過去にもほぼ類例のないものである.地方エリートと市民の関係の変化を捉える上で,極めて重要なデータとなる.現在,このデータセットを用いた計量研究に着手している. ウクライナに関しては,前年度に構築した2010年と2015年の地方議会選挙のデータセットを利用し,2010年から2014年まで支配政党であった地域党に所属していた議員の再立候補に関する計量研究を進めた.ユーロマイダン革命による政治的変化を経ても,有権者の動員能力を持っている,あるいは人材に乏しい農村部から選出されている場合には,ユーロマイダン革命後に批判された地域党員でも,再立候補しやすいことが統計分析によって確認された.この研究をまとめ,現在英語の査読誌に投稿中である. モルドヴァに関しては,関連文献を渉猟し,来年度以降本格的な研究に着手するための基礎となる知識を固めた.特に,ロシアによるウクライナ信仰によって,モルドヴァを取り巻く政治環境は激変している.この変化も考慮に入れた上で,研究内容を最適化するよう努めた.また,公用語のルーマニア語の読解能力の向上のために,インターネット上の新聞報道や法令の読解に取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロシアとウクライナに関して,順調にデータセットを構築し,計量研究を進めることができている.結果も概ね良好に出ており,これらの結果を用いた論文執筆も順調に進んでいる.以前よりも高いレベルの査読誌に投稿しているためか,採択に至る件数が少なかったのは今後の課題である.ただし,査読コメントにもとづき改良を重ね,内容自体はさらに充実しているのはプラスの側面でもある. モルドヴァに関しては,ロシアとウクライナの研究を進めながらも,基礎的な政治に関する知識の獲得やルーマニア語の能力の涵養などの側面で,確かな進展があった.来年度以降に,より具体的な研究成果を出すための下準備を完了させた.
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今後の研究の推進方策 |
ロシア・ウクライナ戦争は,開戦から2年が経過した現在でも,いまだに停戦の兆しは見えない.そのため,ロシア,ウクライナ両国におけるフィールドワーク,およびサーベイ研究に取り掛かるには,まだ時間がかかりそうである.そのため,来年度以降はモルドヴァに焦点を絞り,フィールドワークに着手する予定である.何人か知人の研究者の伝手をたどり,モルドヴァの研究者に連絡をとり,2024年夏,および2025年春に2週間ずつ程度モルドヴァの首都キシナウを中心にフィールドワークを行う予定である.その際に,サーベイを請け負うことのできる現地企業や研究組織にもコンタクトをとり,サーベイ研究の下準備も進める. また,ロシアとウクライナに関しても,引き続き手持ちのデータセットを用いた計量研究を進める.これらの研究も,研究課題の遂行の上ではもちろん,現在の戦争を理解する上でも,極めて重要である.
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