近年、日本の行政では、政策過程における霞が関と現場の隔たりが問題化している。本研究は、霞が関と現場をつなぐ組織として、全国に置かれた中央省庁の下部組織である出先機関に着目し、この問題を考察する。具体的には、当該問題の中長期的進展に鑑み、公文書や関連する一次史料をもとに、出先機関の活動実態を行政史的に分析する。また、分析対象を中央省庁の四類型に沿って各類型の代表的省庁の出先機関と設定し、システマティックに出先機関の活動実態に迫る。 一連の作業によって、政治過程論や中央ー地方関係論で可視化されていなかった霞が関と現場の双方から構成される戦後日本行政の作動の仕組みを明らかにするための手がかりを見出す。
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