研究課題/領域番号 |
23K12417
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
和田 昌也 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30910088)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ミゲル・アバンスール / アバンスール / 批判 / ユートピア / デモクラシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代フランスの政治哲学者アバンスールの「ユートピア」論を対象とし、その政治哲学的意義を検討することを目的とするが、その際、アバンスールが博士論文から晩年に至るまで、一貫してユートピア論に取り組んでいることに分析の焦点を当てることとする。具体的には、ラ・ボエシとともに「なぜ人は自発的隷従に陥るのか」とつとに問うたアバンスールが、ユートピアを自身の政治哲学の基軸に据え、「蜂起するデモクラシー」という新たなラディカル・デモクラシーの構想へと結びつけるに至った思想形成過程を考察し、ユートピアとデモクラシーの結合という新たな理論的領野を切り開く。
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研究実績の概要 |
本年度は、ミゲル・アバンスールの「ユートピア」概念を捉えるべく、例えば雑誌Texturesに投稿された「ユートピアの歴史とその批判の運命」(1973-1974年)やLibreに投稿された「夢見るマスター」(1978年)などの70年代の初期の代表的諸論稿を中心に検討を重ねてきた。そこでは特に、かれが提起した「社会主義的ユートピア」、「新ユートピア主義」、「新たなユートピア精神」という三つのユートピア概念の発展段階を画する諸概念の定義と相互の内的連関について集中的に考察を行った。 この研究を通じて、次年度、政治思想学会第31回大会自由論題報告の場にて、「デモクラシーとユートピア―ミゲル・アバンスールの視座から―」(2024年5月)と題したひとつのユートピア論を生み出すことができた。アバンスールのユートピア論から晩年のデモクラシー論の構想へと至る思想形成過程を明らかにする本研究課題に照らせば、この研究報告の内容は一種の包括的位置づけにあると言うことができるようなものであるが、実際、アバンスールがなぜユートピア論をデモクラシーの構想へと接続しなければならなかったか、その大筋を明らかにすることができたと考えている。 その他の研究としては、アバンスール自身が「新しいユートピア精神」の名の下で取り組んだヴォルター・ベンヤミンの『パサージュ論』と「歴史の概念について」について、彼の再解釈の意義と可能性を、そのテクストに照らしながら、つぶさに検討を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の遂行状況としては、「おおむね順調に進展している」と評価することができる。実際、初年度に予定していた初期の論稿の検討と並行して、本研究課題の大筋を描くことができたことがその理由として挙げられる。次年度以降、この研究を踏まえて、より詳細に考察を展開することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、まず、次年度の政治思想学会における口頭発表「デモクラシーとユートピア―ミゲル・アバンスールの視座から―」を、その際の質疑を踏まえて、論文へと仕上げることで、最初の成果として公表したい。 その後は、彼の初期のユートピア概念についての精緻な読解を進めていきたい。
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