研究課題/領域番号 |
23K12425
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
橋本 直子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (50865095)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 難民政策 / 北欧 / 極右政党 / 人道 / 第三国定住 |
研究開始時の研究の概要 |
「なぜ一部の国は特に脆弱な難民(例:重病者等)を第三国定住で積極的に受け入れるのか」という問いに、実証的に取り組む。事例として、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドにおける現地調査を踏まえ、同諸国が特に脆弱な難民を長年多数受け入れている政策の目的と背景を特定する。その上で、(新国際)制度論の理論的枠組みに基づく3つの仮説のうち、どれが北欧諸国の難民受け入れ政策の趣旨を最も明解に説明できるか批判的に検証し、英語および日本語で研究成果を国際的に発表する。
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研究実績の概要 |
2023年度の4月から7月は当初の研究計画に則り、先行研究の把握と参考文献・データ収集を行った。7月~8月にかけて約5週間近く、スウェーデン、フィンランド、ノルウェイ、デンマークに滞在し、計30名の第三国定住政策関係者(国会議員、政府役人、地方自治体職員、国際機関職員、研究者、NGO職員を含む)から直接聞き取り調査を実施した。北欧諸国での長期夏季休暇の時期に当たってしまったため、直接面談するタイミングが合わなかった関係者からは、後日オンラインあるいは電子メイルで聞き取りと質疑応答を行った(10名程度)。併せて、上記4か国における近年の第三国定住政策に関する参考文献やデータ(学術論文、行政府・立法府発行文書、統計資料、世論調査、新聞記事、国際機関やNGOの報告書など)を網羅的に収集し、庇護政策および第三国定住政策の決定過程を緻密に追跡した。特にスウェーデンおよびフィンランドの第三国定住政策は、本研究事業計画を立てた2022年8月以降、大変革に遭い、現地の政策決定者や経験豊かな研究者ですらまだ咀嚼・分析できていない最新かつ生の情報およびデータを入手することができた。 2023年9月から2024年3月は、現地で入手した情報を翻訳・分析し、更なる最新データの入手も行いつつ、分析結果をまとめた原稿の執筆作業を終えた。同原稿は、2024年6月20日(世界難民の日)に岩波新書として出版予定の単著『なぜ難民を受け入れるのか』の第6章「なぜ特に脆弱な難民を受け入れるのか―北欧諸国の第三国定住政策-」に収録されている。本著は、岩波新書では34年ぶりの難民問題に特化した単著となる予定である。 また2024年前半には、同年6月に開催予定の出版記念シンポジウムと、同シンポジウムに登壇予定のオックスフォード大学難民研究所のMatthew Gibney教授の来日・招聘について、種々の準備作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画から大きく逸脱している点は無い。
むしろ当初は想定していなかった第三国定住政策の大変革がスウェーデンおよびフィンランドで起きたため、本研究事業の重要性・先駆性・独自性が予想以上に高まったと言える。
また北欧諸国における調査研究の結果については、岩波新書に収録される一章という形での発表に加え、既にUNHCR駐日事務所や法務省出入国在留管理庁からも依頼を受け、口頭での講義・講演として共有済みである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年6月に出版される予定の岩波新書の出版を通じて、本研究課題の成果を日本政府関係者、国会議員、メディア、他の研究者、また一般の方々に広く共有していく予定である。 更に、本研究の先駆性・独自性を受けて、既に多くの北欧政府関係者や現地研究者などからも「ぜひ英語でも出版して欲しい」と慫慂されており、英語の学術論文としての投稿準備も2025年度にかけて行っていく。いずれの北欧諸国でも第三国定住政策が大変革のさなかにあるためどの時点でデータを区切るのが適切なのか判断した上で、当初想定していた理論的枠組みを再検討・再構築を試みていくつもりである。
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