研究課題/領域番号 |
23K12426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐々木 葉月 金沢大学, GS教育系, 講師 (00778938)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 規範の現地化 / 実践共同体 / 実行ギャップ / テロ予防 / 南アジア / テロ予防ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
国際社会における適切な行動を示す、国際規範のローカルな受容に関する先行研究では、国際規範の厳密さが低い方が受容されやすいことや、実践段階の明確さを担保する「実践共同体」の重要性が指摘されてきた。しかし、国境を越えて形成される実践共同体において現地化された規範は、ローカルな実践の文脈に適合しないことがある。 本研究は、現地化された規範とその実行の際のギャップに対し、実践共同体とローカル・アクター(現地NGOなど)がどのように対応しているかを明らかにする。事例として、南アジア地域のテロリズム予防の実務家ネットワークと、参加国(スリランカ、ネパール)のローカル・アクターとの相互作用を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、国際規範が地域で受容され、実行される過程において、地域の実務家などで組織されるトランスナショナルな実践共同体とローカル・アクターの間の相互作用を検証する。本研究の目的は、国際規範のローカルな受容における実践共同体の役割について、これまでの規範の現地化の働きに加えて、合意の実行段階で判明したギャップ対応に関する新たな仮説を提起することである。 初年度は2023年9月にスリランカに渡航し、南アジア地域のテロ予防ネットワークに参加する政府関係者や国際NGO関係者にインタビューして、同地域のネットワークの実態に関する調査を行った。その結果、地域レベルのテロ予防の主なネットワークには、南アジア各国の政府主導型と市民社会主導型の二つの枠組みがあることがわかった。そのため、研究目的に関係が深いと思われる市民社会主導型の調査を優先することとし、2024年2月に再度スリランカを訪問し、同ネットワークに参加するNGO担当者などへのインタビューを行うことで、ローカルなテロ予防活動の具体的な内容や、ネットワークの構造への理解を深めた。さらに次年度の調査に備え、現地の大学に所属する安全保障研究者との交流を深め、共同研究体制を構築した。また、上記の調査と並行して、テロ予防と密接に関連する過激化とその対策に関する既存研究の知見を整理するため、共著書『テロリズム研究の最前線』の中で「ヒトはなぜテロリストになるのか?」の章を執筆し、2023年11月に刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の実務家へのインタビュー調査の結果、南アジア地域のテロ予防ネットワークの活動は、政府主導型と市民社会主導型で組織構造や手法が大きく異なることがわかった。そのため、改めて研究目的に関連する事例選択を行い、インタビュー対象者や調査計画などの方針を柔軟に調整した。また、スリランカでの関係者インタビューの蓄積と分析により、テロ予防のローカルな活動状況の実態が明らかになりつつある。次年度の調査体制作りも現在のところ、順調に推移している。また、研究の基礎となる過激化や対策に関する理論の整理も、共著を刊行することで実施した。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように現地調査の結果、南アジア地域の主なテロ予防ネットワークには、協力様式の異なる二種類が存在しており、今後は研究目的の達成に資する市民社会主導型ネットワークを中心に研究を進める予定。また現地調査から、当初の想定よりもテロ予防ネットワークにおけるネパールの活動が低調なことが判明しつつあるため、当面は活発なスリランカを中心に事例研究を進め、研究の進展に合わせて、改めて比較対象事例の検討を行う。
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