研究課題/領域番号 |
23K12429
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇治 梓紗 京都大学, 法学研究科, 准教授 (00829591)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | プラスチック政策 / 国際環境条約 / サーベイ実験 / プラスチック問題 / 国際協調 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新たな国際プラスチック条約の規制対象となるプラスチックごみの処理を担う消費者が、条約実施の鍵となる点に着目し、プラスチック政策をめぐる消費者の選好を、サーベイ実験手法を用いて明らかにする。プラスチックごみ管理政策について、個人の社会連帯意識の程度によって、地域に基盤を置く分権的な政策と、経済アプローチに即して課税を中心とした集権的な政策のどちらを国民が支持するかを明らかにする。これにより、実効性のあるプラスチック条約の制度のあり方について、ローカルアクターの視点を勘案した独自の学術的知見を提示する。また、国際協調とローカルガバナンスの連続性を指摘し、国際関係学の発展に大きく貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の研究期間の1年目であるため、国際雑誌に掲載という具体的な成果はまだ上がっていないが、研究は順調に進行している。主に今年度の研究成果は3点挙げられる。(1)アジア諸国でプラスチック政策の一つとして注目が集まるプラスチック廃棄物発電をめぐる民意を探るため、サーベイ実験をタイで実施した。現在、計量モデルを用いてサーベイ実験によって得られたデータを分析している段階であり、その結果は2024年9月に開催されるアメリカ政治学会で報告する予定である。(2)世界各国の使い捨てプラスチック規制の程度のばらつきが何によって説明されるかを明らかにするため、独自に作成したデータセットを用いて量的に分析した研究は、現在国際雑誌によりレビューされている段階である。(3)また、2024年4月に開催されたプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第4回政府間交渉委員会に参加し、国際プラスチック協調をめぐる争点や国家間の対立軸について情報収集を行った。これらの研究は、プラスチック規制をめぐる各国の政治・経済的文脈をベースとして、国家利益の観点から国際プラスチック協調をめぐる交渉過程を理解するとともに、協調のあり方をめぐり政策的含意を提示するものとなっている。 なお、本研究課題と関連する形で以前から手がけてきたエネルギー政策をめぐるサーベイ実験研究が国際雑誌PLOS Climateから刊行された。本研究は、アメリカにおいて、安全保障政策とエネルギー政策をめぐるトレードオフをめぐる民意と党派との関係を、サーベイ実験を用いて明らかにするものである。また、複数のイシューをめぐる国際制度交渉過程を理論的に実証分析した書籍のブックレビューが国際雑誌 International Relations of the Asia-Pacificから刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
産前・産後休暇を経たために海外渡航ができず2023年度に開催されたプラスチック条約交渉への参加が叶わなかったが、2024年度中の2回にわたる条約交渉参加によって本研究のための情報収集は十分に補完可能である。なお、アジア諸国のプラスチック政策をめぐるサーベイ実験研究については、申請書に記載した計画以上のペースで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
タイにおけるプラスチック廃棄物政策をめぐるサーベイ実験研究、使い捨てプラスチック規制の規定要因を探る研究は、2024年度内に国際雑誌から刊行することを目指す。プラスチック汚染に関する条約の最終交渉となる2024年11月開催の第5回政府間交渉委員会に引き続き参加し情報収集を行う予定である。なお、2024年度中に2回のプラスチック条約交渉が開催されることは研究計画作成時には予測できなかったという事情から、2023年度に執行予定であった予算の一部を2024年度に繰り越した。
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