研究課題/領域番号 |
23K12438
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤田 吾郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 講師(任期付) (80973429)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 再軍備 / 自衛隊 / 社会秩序 / 安全保障 |
研究開始時の研究の概要 |
自衛隊の創設(1954年7月)は、日米安全保障条約の成立と並んで、戦後日本の安全保障体制が形成される上で、きわめて重要な出来事であった。他方で、戦後初期には、敗戦と占領改革を通じて、日本の社会秩序には大きな変動が生じていた。本研究は、内政政策と安全保障政策との連関に着目しながら、日本の社会秩序を維持・再構築するために日米両国の政策決定者がいだいていた諸構想を詳細に分析し、これら諸構想の相克・調整のなかに自衛隊の創設を位置づけることで、戦後日本の安全保障体制の特質を捉え直すことを目指す。
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研究実績の概要 |
初年度である2023年度は、第一に、本研究プロジェクト全体にかかわる史資料の調査を進めた。国立国会図書館では、憲政資料室にて「芦田均関係文書」や「海原治関係文書」をはじめとする文書の調査を行うとともに、本研究に関する同時代の新聞記事や雑誌記事を収集した。また、外務省外交史料館では「戦後外交記録」を、国立公文書館では「防衛庁史資料」を、石川県立図書館(石川県金沢市)では辻政信の再軍備論に関する資料を、福知山市立図書館(京都府福知山市)では芦田均に関する資料を、それぞれ収集した。さらに、海外においては、2023年8月に英国国立公文書館(ロンドン)で、2024年3月に米国国立公文書館(メリーランド州カレッジパーク)とスタンフォード大学フーヴァー研究所(カリフォルニア州スタンフォード)で、それぞれ調査を行い、1950年代前半における英米両国政府の対日安全保障政策に関する文書を収集した。これらの調査を通じて、1950年代前半の再軍備問題を社会秩序の変動との関連のなかで分析するための、重要な基盤を形成することができた。 第二に、これらの史資料に基づいて、日本再軍備の過程を実証的に再検討する作業に努めた。今年度は、1950年から1952年の時期に主たる焦点をあて、自衛隊創設の重要な背景となった日本の保守政治家(芦田均、石橋湛山、辻政信、鳩山一郎ら)の再軍備構想と内政構想(とくに社会動員および対共産党政策に関する構想)との関係について、とりわけ分析を進めた。なお、この研究内容の一部について、2023年8月にベルギーで開催されたヨーロッパ日本研究協会(European Association for Japanese Studies)で報告し、欧米圏の日本研究者から貴重なフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、日本国内および海外での調査を通じて、本研究に必要な史資料を広く収集することができた。また、史資料の分析と国際学会での報告を通じて、主として日本側の諸アクターの再軍備構想と内政構想との関係を掘り下げて分析することができた。他方で、1953年以降における自衛隊の創設をめぐる政党間折衝や、日本再軍備の方向性をめぐる国際関係についての分析は、いまだ途上にある。次年度以降は、本年度の成果を基礎としながら、上記の点についての分析をより発展させるとともに、研究成果を査読付き学術雑誌に論文として投稿するための準備を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、これまでに収集した史資料の分析を引き続き行うとともに、日本国内および海外での追加調査を実施し、自衛隊の創設過程についての再検討を進める。とりわけ、次年度以降は、1953-1954年の時期について、より本格的な分析を行う計画である。 あわせて、史資料の分析を進める過程で生じた、次の二つの発展的論点についても、研究プロジェクトのなかに取り込むことで、日本の社会秩序の変動と再軍備問題との関連について、より総合的に把握することをめざす。第一に、日本側の諸アクターの再軍備構想と、戦前・戦中期の国家総動員構想との関係について、本格的な検討を行いたい。第二に、自衛隊の創設過程において浮上した、戦後日本における民兵制度の創設構想について、その実態と政治外交史・安全保障政策史上の位置づけについて再検討を行いたい。
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