研究課題/領域番号 |
23K12446
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日野 将志 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (30906920)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 長期債務 / 住宅購入 / 異質の家計 / 耐久財消費 |
研究開始時の研究の概要 |
耐久財購入は(1)景気循環に応じて大きく変動すること,(2)経済政策に大きく反応することが知られている.特に住宅および車は耐久財の大きな割合を占め,その購入には長期間の債務を組むのが一般的である.例えば,これらの長期債務が過去の日米等で起きた大きな景気後退において重要な役割を担ったと考えられている.そこで,本研究は,ミクロデータと一貫性がある,家計の異質性と耐久財,および長期債務を含むマクロ経済モデルを構築し,モデルの仮想現実をシミュレートすることで,景気循環や経済政策における長期債務の役割を明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
今年度は単純化したモデルの試行、リテラチャーレビューおよびリサーチクエスチョンの検討を行った。具体的に、分析を単純化するために、住宅を捨象し長期債務のみの単純化した異質の家計モデルの構築とシミュレーションを試行した。しかしながら、このような単純化されたモデルでは事前に予想したほど、利子率の変更に対して目新しい結果が得られなかった。そこで、新規性のある結果を出すためには、モデルを複雑化する必要性を実感した。 しかし、この種のモデルを複雑化するのは困難であるため、リテラチャーレビューと関連の研究を行っている研究者と事前に話をすることでモデルの単純化方法を模索した。住居をモデルを数値的に解く際に複雑化する原因の一つが、住居を買うかどうかというエクステンシブ・マージンの選択と、どのような質の住宅を買うかというインテンシブ・マージンの選択、この二つの選択が存在するためである。この分野の研究を行っている研究者によると、インテンシブ・マージンの選択を捨象し、家を買うかどうかの選択だけをモデル化しても、現実の相当程度を捉えられそうな感触を得た。そのようにすることで、数値的な選択は基本的な消費や流動的資産および長期債務のみになり、モデルの複雑さを最小限に保ったまま分析を行うことが出来る。しかし、この方法の注意点としては、年齢ごとの住宅保有率のデータとマッチさせる際に問題があり、取り扱いの難しさがあることも分かった。したがって、今後はインテンシブ・マージンを捨象した住宅のあるモデルを用いて、現実的な年齢ごとの住宅保有率にマッチさせるように、モデルの拡張を検討する必要があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は単純化したモデルの試行とリテラチャーレビューを行うことが当初の見通しであった。これは上記の通り達成されたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きリテラチャーレビューを継続しつつ、今後の方針としては、第一に今後はインテンシブ・マージンを捨象した住宅のある長期債務のモデルを構築し、現実的な年齢ごとの住宅保有率にマッチさせるように、モデルの拡張を検討する。 さらに可能な限りにおいて、モデルの精緻化を目標としている。現時点では、住宅ローンを組む際には固定金利と変動金利の両方が選択できるような拡張と、硬直的な賃料の賃貸市場が存在する住宅モデルの二種類が重要ではないかと考えている。またリテラチャーレビューによって、長期債務が及ぼす役割についてさらなる検討を重ねる。
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