研究課題/領域番号 |
23K12451
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
庄司 俊章 成蹊大学, 経済学部, 講師 (10846801)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 物価 / インフレーション / 消費 / マクロ経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
過去20年以上にわたる金融政策の努力にもかかわらず、日本の物価は一向に動かなかった。ところが今、新型コロナウイルス感染症の流行とそこからの回復の過程で、日本の物価が動こうとしている。本研究では、なぜ物価が動きつつあるのかに焦点を当て、ミクロデータを用いた実証分析を通じてその答えを追究する。コロナ禍が物価を動かす要因は3つある。第1は労働力の減少であり、第2は消費行動の変化、そして第3は企業のリショアリング(生産拠点の国内回帰)である。本研究は、これらの諸要因のインパクトを実証するとともに、デフレからの脱却を果たすうえでどのような経済政策が有効であるかについて示唆を得る。
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研究実績の概要 |
2023年度は以下3つの研究について進展があった。 第1に、消費者が直面する物価・インフレ率の年代間格差を検証した研究論文が、国際学術誌に掲載された。主要な発見は、消費する財が時間を通じて変化することを許容した場合、退職年齢前後の世代は現役世代よりも低いインフレ率に直面しているというものである。その理由として、退職した消費者は購入する財をより柔軟に変化させている可能性が考えられる。これはコロナ前の時期の分析結果であるが、ポストコロナの分析を行う上での基礎となる発見に位置付けられる。 第2に、コロナ期のクレジットカード決済利用の普及について分析した共著論文を、日本経済学会秋季大会(日本銀行が企画したセッション内)において報告した。主な発見は、コロナ期のクレジットカード利用が感染拡大時の外出自粛動向と相関していること、また経産省のポイント還元政策にも匹敵するような規模でコロナ期にはキャッシュレス決済への移行が進んだ可能性があること、の2点である。 第3に、家計のインフレ期待と日次の物価指標の関連性について検証する共同研究の分析を進めている。新型コロナの感染が収束に向かい、経済活動が本格的に再開してから、日本でも物価が上昇し家計のインフレ期待も大きく高まっている。本分析は、こうしたインフレ期待の変動をいち早く検出するため、POSデータを使った日次の物価指標を活用することを試みたものである。特に、家計のインフレ期待に影響を与えやすいとされる頻繁に購入される財に焦点を当てて、現在分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ期およびポストコロナ期の物価・消費に関する分析を進めており、必要な分析機材の購入・予備的な分析等も行えていることから、上記のように判断する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、POSデータやクレジットカードデータなどの非伝統的データを活用し、ポストコロナ期の家計・企業の行動を実証的に分析していく。
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