研究課題/領域番号 |
23K12453
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
萩原 誠 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (20875116)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 限定合理性 / 制度設計問題 / 確率的選択問題 / 部分ゲーム完全均衡 / メカニズムデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
制度設計問題とは,制度設計者が人々の好みがわからない状況で,各個人の戦略的虚偽の可能性を考慮して,ある社会目標を遂行するメカニズムの設計を目指す問題である.この問題は,オークションや学校選択問題,公共財配分問題など多くの例を含む. 本研究の全体的な目的は,「限定合理的な個人が存在すると仮定した上で,どのような制 度であれば社会目標を達成できるか理論的に分析すること」である.現実の人々は,必ずしも人々が自分の好みを最大限満たす行動をとっていないことが多く観察されている,そこで,この点をメカニズムデザイン理論研究に取り入れて,分析を進めていくことは重要である.
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研究実績の概要 |
研究目的は,制度設計問題に関して限定合理的な個人が存在することを考慮し,より現実に近い状況で研究することである. まず制度設計問題に関して簡単に述べる.政府など制度設計者は,効率性などある社会目標を達成しようと考えている.しかし,制度設計者は各個人の選好を観察することができない.そこで,制度設計者は各個人の申告できるメッセージを定義し,また申告されたメッセージをもとにどのように帰結を選ぶかを定義する.この方法を「メカニズム」と呼ぶ.制度設計者は各個人がある均衡概念に従って行動すると考える.制度設計者は,各選好組に対して,その均衡概念のもとで得られる結果の集合が社会的に望ましい帰結の集合と等しくなることを目指す.これを社会目標を「均衡概念のもとで遂行する」と呼ぶ. 研究目的達成のため,以下2つの研究を進めた. 1つ目は,限定合理的な個人を表現するために選好ではなく選択対応をもとに均衡概念を定義し,特に部分ゲーム完全均衡においてどのような社会目標が遂行可能であるか数理的性質を明らかにした.先行研究ではナッシュ均衡のもとで遂行不可能であった社会目標が,部分ゲーム完全均衡のもとでは遂行可能である.この研究をオンライン上(Social Science Research Network)で公開している. 2つ目は,限定合理的な個人に注目し,人々の集団がどのような割合で選択肢を選ぶかを考える確率的意思決定問題について研究した.先行研究と異なり,基準となる選択肢から考慮可能な集合を定義し,その中から比較的選択確率が高くなる選択肢の集合を表現する「フォーカル集合」を定義した.このような選択の仕方を数理的性質で特徴づけた.この研究を査読付国際学術雑誌Economic Theory Bulletinへ投稿し,査読者から頂いたコメントをもとに改訂を進め,2024年4月に採択・公開された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1つ目の研究である,選択対応上で定義された部分ゲーム完全均衡における制度設計問題について,分析をまとめて研究をオンラインで公開した.よって,当初の計画通り進展した. 2つ目の研究である,考慮集合とフォーカル写像を同時にモデルに取り入れた確率的選択問題では,査読付国際学術雑誌Economic Theory Bulletinの査読者から得られたコメントを中心に論文を改訂した.その後投稿し,2024年4月に採択・公開された.よって,当初の計画にはなかった限定合理的な個人のみに注目し,その行動を表現する研究が進展した. 以上より,当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
1つ目の研究「制度設計問題」が,査読付国際学術雑誌において採択されることを目指す. 2つ目の研究「確率的選択問題」に関して,新たな研究を進める.例えば,考慮集合は外生的に与えられていた基準となる選択肢から生成されていたが,これを内生的に意思決定者が持つ状況を研究する.
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