研究課題/領域番号 |
23K12456
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗栖 大輔 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (70825835)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 時系列データ / 深層学習 / 経験尤度 / 多様体データ / フレシェ回帰 / フレシェ平均 / 平均処置効果 / 回帰不連続デザイン / 因果推論 / 空間データ分析 / 関数データ / 時系列解析 |
研究開始時の研究の概要 |
近年では社会科学を含む様々な分野において,データの間に複雑な従属関係をもつ時系列データや空間データ,さらに関数データと呼ばれる,観測値そのものが複雑な構造をもつデータに対する分析が行われるようになってきた.これら新しい種類のデータに対しては既存のデータ分析手法が適用できない場合が多い.本研究ではこれらの問題に関連する以下の3つの研究に取り組む予定である. ①時系列データに対する深層学習,②空間データに対する因果性の検出,③関数データに対する構造変化・因果性の検出.これらの研究により,時系列・空間・関数データに対して,新たなデータ分析手法を開発し,複数の応用分野における問題解決を目指す.
|
研究実績の概要 |
本年度は以下の研究テーマに取り組んだ: (1)時系列データ深層学習(2)フレシェ回帰のモデル平均(3)経験尤度による多様体データのフレシェ平均の推定(4)関数データを共変量にもつ場合の平均処置効果の推定(5)多変量回帰不連続デザイン 研究(1)については数理統計・確率論の国際ジャーナルであるBernoulliに掲載が決定している.研究(2)は共変量が通常のユークリッド空間に値をとるベクトルであり,応答変数が一般の距離空間に値をとる回帰モデルとして近年提案されたフレシェ回帰に関する研究である.本研究では,複数のフレシェ回帰モデルを,予測誤差を最小化するように加重平均をとる方法を提案し,実際に提案手法が予測誤差の意味で最適になることを理論的に証明した.研究(3)では多様体上に値をとるデータに対して,ユークリッド空間に値をとる確率ベクトルの期待値の概念を拡張したものであるフレシェ平均を推定する方法を提案した.具体的には経験尤度と呼ばれる方法を用いることで既存研究では扱えなかったより一般の多様体データに対しても利用可能なデータ分析手法を与えた.研究(4)ではユークリッド空間に値をとる共変量をもつ場合の平均処置効果の推定方法を関数データの枠組みに拡張した.研究(5)では一変量のランニング変数が利用可能な場合の回帰不連続デザインの枠組みを多変量のランニング変数が利用可能な場合に拡張し,既存研究の問題点と提案手法の有用性を示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の一部であった非定常時系列データの深層学習については国際ジャーナルに掲載が決定しており,空間データに対する因果推論の手法開発についても共同研究者と議論を進めている.また当初の研究計画と関連して,一般化ベイズの枠組みにおける回帰不連続デザインの方法の提案,興味のある集団への介入の割り当て選択(treatment choice), アウトカムが距離空間に値をとる場合の平均処置効果の推定方法の提案,surface time series の空間トレンドの大域的ノンパラメトリック推定などのテーマについて,得られた成果を論文にまとめ国際ジャーナルに投稿中である.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方としては,まず研究テーマ(2),(3)に関連して,一般の距離空間に値をとるデータに対する因果推論の方法の開発を進める.このテーマについては現在国内外の研究者と議論を進めており,数値実験とデータ分析は完了している.理論的結果についてもほぼ満足のいく結果が得られており,2024年度中に論文としてまとめ,国際ジャーナルに投稿する予定である.また研究テーマ(5)に関連して,空間相関をもつデータに対する因果推論の枠組みの定式化について共同研究者と議論し,具体的な分析手法の提案とデータ分析を進めることを2024年度の目標とする.
|