研究課題/領域番号 |
23K12457
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
佐藤 宇樹 武蔵大学, 経済学部, 専任講師 (80848078)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 空間計量経済学 / クラスター相関 / GMM推定量 / 計量経済学 / 空間データ / クラスターデータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では誤差項内のクラスター相関を考慮したSARモデルの開発とクラスター相関にロバストなGMM推定量の提案に向けて、次の3段階で研究を行う。1段階目では、クラスター内のサンプル数が有限の場合のモデルと推定量の開発を行う。次に、3段階目で提案する推定量の漸近的性質の導出に向けて空間計量経済学の分野で頻繁に用いられる中心極限定理の拡張を行う。最後に3段階目では、クラスター内のサンプル数が発散する場合のモデルと推定量の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は研究の第一段階として、各クラスター内のサンプル数が有限の仮定のもとで、誤差項内のクラスター相関を考慮した空間自己回帰(SAR)モデルの推定法の開発を行った。モデル内では、誤差項が独立なケースからの拡張として、誤差項の共分散行列が未知のパラメーターのブロック対角行列になることを認めている。そのモデルの推定量として、GMM推定量の開発を行った。誤差項にクラスター相関が存在する場合、誤差項が独立の場合に用いられる非線形モーメント条件は妥当性を失うため、誤差項とブロック対角要素が0の行列の2次形式の期待値を新たな非線形モーメント条件として提案した。クラスター相関にロバストなGMM推定量は上で述べた非線形モーメント条件と一般的な操作変数と誤差項の線形モーメント条件を用いて導出される。クラスター内のサンプル数が有限の場合には、その影響が限定されるため、既存の中心極限定理を応用することで、推定量の漸近的性質の導出を行った。 また、モンテカルロ・シミュレーションを行い、提案するGMM推定量の有効性を確認した。 シミュレーション結果から、誤差項にクラスター相関が存在する場合には、既存の不均一分散にロバストなGMM推定量が大きなバイアスを持つ一方で、本研究課題で提案するクラスター相関にロバストなGMM推定量はバイアスをほとんど持たないことが明らかになった。 本年度の研究成果をまとめた論文は現在国際誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題は三段階に分けて実行予定であるが、その第一段回目が一年目に完了したため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究の第二段階を実施する。具体的には、クラスターサイズが発散するケースにおいてGMM推定量の漸近正規性を導出するために、その証明の中で用いる中心極限定理の開発を行う。 疑似最尤法やGMM推定量といった空間計量経済学モデルの推定量の漸近正規性を導出するためにはLinear-Quadratic Central Limit Theorem(L-QCLT)という少し特殊な形の中心極限定理が用いられる。これまで開発されたL-QCLTは誤差項が独立非同分布の仮定の場合でのみ適用可能なため、本研究課題で取り組む誤差項がクラスター相関をもつケースには応用できない。そこで、クラスター内のサンプル数がサンプル数が発散する場合にも応用可能な形に拡張する。
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