研究課題/領域番号 |
23K12470
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
白井 大地 東北学院大学, 経済学部, 講師 (90823675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 財政政策 / 企業債務問題 / 長期停滞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は景気刺激策としての法人税減税や政府支出の拡大といった財政政策の効果(乗数)が、企業債務の多寡に応じて変化をするのか、企業債務問題解消に資するかを実証的・理論的に明らかにする。財政政策は、企業のデフォルト・リスクや、負債の資金調達の税制上の優遇の変化を通じて、企業の資金調達方法(資本構成)に影響を及ぼすと考えられる。こうした経路が、GDPなどのマクロ変数や社会的厚生、政策乗数にも影響を及ぼすかを分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は過剰債務問題が生じているもとで財政政策の効果を分析することを理論的、実証的に明らかにすることが目的となっている。2023年度は分析に必要な理論モデルの構築及び、本研究の仮説の検証をするために実証分析に用いるデータベースの開発を行った。 分析の基礎となる理論モデルは、現在投稿中の雑誌のレフリーのコメントに沿った改訂を進めた。モデルの特徴は借入制約や有限責任制約が局所的にバインドするモデルであり、金融危機によって長期的に生産性が落ち込むショックに直面したり、企業の債務に関する再分配ショックによって企業は過剰債務を負ってしまう。企業の債務水準が一定水準を超えてしまうと、長期的に非効率な状態に陥ってしまう。 先進国では企業債務比率が高まり、金融危機後、長期的な停滞が続いている。世界金融危機後、先進国を中心として危機前のような成長率に戻らない状況が続いている。この理論モデルは、こうした金融危機後の長期停滞を企業債務問題によって説明するものとなっている。 本研究ではこの基礎モデルを発展させて、財政政策によってこうした永続的に非効率な状態を脱することができるのか、債務負担の重さの程度によって財政政策の乗数に変化が生じるかを分析する。さらに、こうした理論モデルの仮説が成り立つかを実証分析によって検証することが目的となっている。 実証分析に利用するパネルデータの構築に関してはOECDのデータベースを用いている。対象はOECD諸国であり、データが利用可能な国を対象とする予定である。分析によって、企業債務問題の解決に対して効果を持つのかを明らかにすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎的なモデルの改訂作業を中心に作業を進めた。レフリーコメントの要求が多く、その対応に多くの時間を要したため、本来予定していたデータベースの構築は予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
改訂した理論モデルに関しては、ワーキングペーパー化して、キヤノングローバル戦略研究所のWEBページに掲載する予定である。その後、論文を投稿していた雑誌に再投稿をする。研究成果は、研究会や学会での報告を通じて意見交換を行い、研究の改善を進めていく。
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