研究課題/領域番号 |
23K12483
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
永島 史弥 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50845956)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | サプライチェーン / 脱炭素社会 / 産業連関分析 / トランジション / ネットワーク分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではトランジションへのロードマップをどのように描けばよいかを明らかにするために、産業のサプライチェーン排出量を新たな視点でとらえなおし、さらに産業のサプライチェーン上の構造的位置に着目したトップダウン型の温室効果ガス排出評価モデルを用いた実証研究を行う。本研究により、各国・各産業がグローバルサプライチェーン全体での排出を抑制するために、消費側・生産側のどの政策が優先されるべきであるかということを明らかにすることができる。また、複数の削減シナリオを設定し、提案した削減政策がカーボンニュートラルに向けた削減目標達成にどれだけ貢献するのかを定量的に示す。
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研究実績の概要 |
今年度はグローバル多地域産業連関表(GMRIO)にネットワーク分析で用いられる媒介中心性のアイデアを適応し、日本の特定の産業が関与するグローバルサプライチェーンからの排出量を推計した。本研究で推計される排出量は、生産基準排出量や消費基準排出量といった既存の排出勘定では過小評価されていた中間財産業のグローバルサプライチェーン上での排出への寄与を明らかにするものである。推計するに当たり、コロナ禍や各国の対立といった近年の情勢を踏まえた時系列変化を分析に取り入れるため、2000年から2022年までの実質価格表を提供しているアジア開発銀行の産業連関表(ADB-MRIO)を用いることになった。ADB-MRIOは排出勘定を提供していないため、国際エネルギー機関が提供しているGHG排出量データを用いて、ADB-MRIOの産業分類に対応した排出勘定データを作成した。 また、求めた排出量がどのような要因で変化してきたのかを明らかにするために、DSA型要因分解をに基づいた構造分解分析を行った。本手法を用いたこれまでの分析では、産業構造の変化をレオンチェフ乗数の変化として見られてきたが、本研究ではこれをサプライチェーンの川上構造の変化・川下構造の変化に分解した。本手法を適応する際には変数間の依存性の問題にも対処している。本研究業績は次年度の国際産業連関分析学会で発表予定であり、更に査読付英文誌への投稿に向けて論文に取りまとめている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析の過程で、データの整備に多くの時間を割いてしまったため、目標としていた査読付英文誌への投稿まで至らなかった。次年度中には受理されるよう引き続き準備を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、既に推計した排出量のうち、当該産業が川上・川中・川下のどこに位置するときのサプライチェーンからの排出量が多いのかということを明らかにし、その割合によって各国・各産業のグローバルサプライチェーンにおける相対的な位置を特定する。また、今年度整備した時系列のGMRIOおよび排出勘定データを用いて、各産業のサプライチェーン排出量とその構造的な位置がどのように変化したのかを定量的に分析し、その要因を明らかにする。
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