研究課題/領域番号 |
23K12506
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
大鐘 雄太 南山大学, 経済学部, 准教授 (70801968)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 新規開業企業 / 資金調達 / 現金保有 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、新規開業企業の資金調達行動の解明を通じて、効果的な創業支援策の企画立案につながる学術的知見を得ることである。近年の研究では、従来の理論では説明できない資金調達行動が新規開業企業を中心に増えていることが報告されている。しかし、理論が現実をうまく説明できなくなった原因は、まだ解明されていない。このような背景から、本研究では、新規開業企業の資金調達行動における理論と現実との乖離の原因を分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、新規開業企業の資金調達行動の解明を通じて、効果的な創業支援策の企画立案につながる学術的知見を得ることである。この目的を達成すべく、本年度は非上場企業の現金保有行動に焦点を絞り、以下の2つの分析を行った。
第一は、「非上場企業の現金保有の原資に関する分析」である。この分析では、「非上場企業は現金保有の原資をどこから調達するのか」を明らかにすることを目的とした。分析の結果、(1)当該企業は調達コストが高い手段からより多くの現金を調達する、(2)とりわけ社債発行が当該企業の現金保有に最もつながりやすい、(3)一方、銀行借入が当該企業の現金保有に最もつながりにくい、の3点が観察された。以上の結果は、非上場企業は現金保有の原資の調達において、コスト以外の点を重視することを示唆している。
第二は、「非上場企業の超過現金に関する分析」である。この分析では、「非上場企業の資金調達手段と超過現金との関係」を明らかにすることを目指した。分析の結果、(1)当該企業の資金調達手段のうち、銀行借入が最も超過現金との関連が強い、(2)具体的には、非上場企業は銀行借入が使えないと超過現金を保有しやすい、(3)この傾向は、銀行依存度が低い非上場企業においてもみられる、の3点が得られた。これらの結果は、非上場企業は銀行借入が使えないときの保険として、超過現金を保有することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、(1)上記の2つの分析を行うこと、(2)新規開業企業の資金調達を分析するためのアンケートを実施すること、の2点を計画していた。「非上場企業の現金保有の原資に関する分析」、「非上場企業の超過現金に関する分析」については、ともに分析結果を論文としてまとめることができた。また、「新規開業企業の資金調達を分析するためのアンケート」については、実施だけでなく集計も完了させ、すでに分析の段階に至っている。さらに、当初は計画していなかったが、昨年度までの研究課題(新規開業企業の将来性と金融機関の目利き能力に関する実証分析)から引き継いでいる3本の論文(「取引金融機関数が新規開業企業への貸出に与える影響に関する実証分析」、「起業家の異質性が新規開業企業の業績に与える影響に関する実証分析」、「メインバンクの毀損が企業の現金保有に与える影響に関する実証分析」)も改訂・投稿し、いずれも査読付き国際学術雑誌に採択された。以上のような理由から、本研究課題は、当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、(1)上記の2つの研究(「非上場企業の現金保有の原資に関する分析」、「非上場企業の超過現金に関する分析」)のさらなる改善を図ること、(2)「新規開業企業の資金調達を分析するためのアンケート」の分析結果をまとめること、(3)「起業家の資金調達手段としての銀行とベンチャーキャピタルとの選択」について分析すること、の3点を目標とする。
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