研究課題/領域番号 |
23K12512
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 中央学院大学 |
研究代表者 |
掘井 誠史 中央学院大学, 商学部, 講師 (40907979)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 産業振興政策 / 政府紙幣 / 技術教育 / 懸賞課題 / ドイツ経済史 / ザクセン経済史 / 産業振興 / 繊維産業 / 産業啓蒙 / 有用な知識 |
研究開始時の研究の概要 |
イギリス産業革命や大陸ヨーロッパの工業化の達成要因は研究者の関心を集めてきた。遅れて工業化を開始させたドイツでは,啓蒙主義思想のもとで工業化に向けて産業振興が実施されてきた。18世紀後半のドイツ・ザクセン経済史研究では,産業振興の実施による繊維産業に関連する技術導入や製品の品質改良の達成が高く評価されてきた。しかしながら,同時期に実施された複数の産業振興政策間の実施目的とその効果の差異が未解明のままであった。本研究では,18世紀後半から19世紀前半のザクセンで実施された懸賞課題・報奨金・メダル授与をとりあげ,実施意図と政策効果における差異を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の核心をなす学術的「問い」である,懸賞課題・報奨金・メダル授与という複数の産業振興政策の実施を通じ,18世紀後半から19世紀前半ザクセン繊維産業の技術・品質改良がどのようにして達成されたのかという点について検討するにあたり,予備的検討として予算編成について調査した(本来は令和7年度以降に実施する内容であった)。そのなかで,これらの産業振興政策の実施にあたって,戦後復興や飢饉による予算的制約が存在していることが判明した。ザクセン政府は予算確保のために新紙幣を発行し,それが産業振興政策の実施に決定的な重要性を持つ可能性があることがわかった。そこで申請書における研究予定の順序を変更し,新紙幣についての研究を進めた。その成果は社会経済史学会九州部会において「18世紀後半ドイツ・ザクセンにおける 新紙幣kurfurstlich sachsischen Kassenbilletsの 発行・受領・流通」という題目で報告した。また,その内容の一部を「ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト 3 世治世下における紙幣 kurfurstlich sachsischen Kassenbilletsの発行」というタイトルで紀要論文として発表した。この論文では,政府紙幣のKassenbillet が、七年戦争後の財政・経済危機への対応を企図しており、財政状況改善のための方策の1つとして発行されたことを指摘している。また現在,国際査読誌に,この新紙幣と産業振興政策の関係についての論文を投稿中である。また,並行して本来の令和5年度の研究計画である懸賞課題・メダル・報奨金の比較検討についても史料調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究を進める中で,産業振興政策を財政的に支える政府紙幣の存在を示し,それについて紀要論文を発表した。また更なる史料調査に基づいて,政府紙幣と産業振興政策の関係を示す論文を投稿できている。また,並行して本来の令和5年度の研究計画である懸賞課題・メダル・報奨金の比較検討についても史料調査を進めることができている。こちらについては令和6年度中に投稿・論文化を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
政府紙幣と産業振興政策の関係を示す論文の査読結果をまち,その論文の改訂を進める。懸賞課題・メダル・報奨金の史料調査に基づく比較検討をした結果を論文化する。
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