研究課題/領域番号 |
23K12518
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
松本 行平 一橋大学, 社会科学高等研究院, 特任講師 (80973122)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 製品のリコール / 国際展開 / 海外直接投資 |
研究開始時の研究の概要 |
短期的な利益を追求する経営者は製品の安全性を軽視し、リコールの可能性を高める傾向があることが先行研究で明らかにされているが、リコールの要因に関する研究は未だ限られている。企業の資源や経営者の注意には限りがあるとすると、経営者が短期的な利益を追求していなくても、長期的な成長のために、国際展開といった多大な資源や注意を必要とする戦略を追求すれば、製品の安全性に向けられる資源や注意が乏しくなり、リコールの可能性が高まることが考えられる。本研究は国際展開にむけた海外直接投資がリコールに与える影響を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は家庭用電気製品を製造する国内の上場企業を対象に、長期パネルデータを用いて企業の国際展開にむけた海外直接投資がリコールに与える影響とその条件を明らかにすることを目的としている。初年度である2023年度の研究実施計画はデータの収集と整理を進めることであり、この初年度の計画を予定通り進めることができた。企業の海外直接投資を測定するための東洋経済新報社の海外進出企業総覧データについては、予定より早く2008年から2019年までのデータを収集し整理することができたため、2024年度に配分されていた科研費を前倒しし、2001年から2007年までのデータを購入して整理をした。リコールのデータについては製品評価技術基盤機構、経済産業省、消費者庁のウェブサイトからデータを収集して整理した。これらと並行して日経NEEDS FinancialQUESTから企業の財務データを、有価証券報告書から企業の創業年のデータを収集して整理した。一連の作業により2001年から2019年までの19年分のパネルデータを構築することができ、実証分析を始めることができた。暫定的な結果からは、海外の生産子会社の数がリコールの頻度に正の有意な影響を与えていることを確認することができている。よって本研究の第一の目的である、海外直接投資がリコールに与える影響を明らかにすることを達成できる可能性が高い状況にある。今後は本研究の第二の目的である、この影響の強弱がどのような条件によって決まるのかについても分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで研究はおおむね計画通りに進んでいる。分析に必要なパネルデータを構築することができたため、現在は海外直接投資がリコールに与える影響とその条件の実証分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き、企業の国際展開にむけた海外直接投資がリコールに与える影響とその条件を明らかにするための分析を進める。説明変数である海外直接投資と被説明変数であるリコールが企業内部の観測不可能な変数の影響を受けている可能性があり、この内生性の問題には操作変数法を用いて対処する。また本研究では、当影響の条件を明らかにすることが実務上重要な貢献となる。条件については本研究の理論的背景に傾注ベース論を用いていることから、役員の情報を収集し整理しているが、必要に応じて、条件の解明のためのデータを追加的に収集する。海外直接投資の影響とその条件の分析が進んだところで、国内学会で発表する計画である。またモデルが決まった段階で、論文の執筆も2024年度中に始める予定である。
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