研究課題/領域番号 |
23K12520
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤野 義和 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (10781403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 医薬品業 / 同族企業 / 善い経営 / 統治のテクノロジー / 権力の正当性 / 企業統治観 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、他産業より長く同族が経営に関与し続けた医薬業を対象に、当事者の統治を巡る言説を実践レベルで問い直すことによって、同族が資本の論理によらず関与し続ける現象が成立したメカニズムを解明し、現実に即した新たな統治論の導出を試みる。 同族企業は統治のあり方の変遷を示す典型例である。よって資本の論理によらない同族経営者の正当性のメカニズムを解明することは企業の統治論の議論に不可欠と考える。再び議論に組み込むためには、主要統治論とは異なる企業観(企業統治観)を前提とすることが必要となる。
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研究実績の概要 |
令和5年度の研究計画は、わが国の医薬業界を対象として2000年ごろまでの「善い」ことの言説を調査する。具体的には、医薬経営者の言説が多く収載されている業界誌(例えば月刊薬事)や定期刊行物(例えば薬事ハンドブック)、医薬業や卸の社史やHP、広報物、IR等、そして業界研究書を収集するとともに、年代別にテクストを整理しデータベース化する、とした。 まず、既存のデータベースを見直しながら、必要かつ未収集の資料をピックアップした。想定以上に未収集資料が多く、国会図書館やオンラインデータベースを活用しながらそれらを集めた。収集後、分析可能なように年代別に整理を進めた。また企業統治に関するものや医薬品業に関わる文献を収集し読み込むことで、業界の構造や慣習、そして企業統治の理論的な知見を深めた。 そして企業家研究フォーラム主催の「講座・企業家学」の6月17日の講座に登壇し、「道修町薬問屋の発展と同族の「善い経営」というタイトルで講話を行なった。講座の参加者との意見交換は、道修町と薬の関係性と地域発展に関する知見を深める機会となった。 最後に、山田幸三・江島由裕編『1からのアントレプレナーシップ』の執筆に参加した。同著の第5章を担当し、武田薬品工業の経営活動の変遷や武田家のアントレプレナーシップ、事業承継の事例をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
繰り返しとなるが令和5年度計画は、医薬経営者の言説が多く収載されている業界誌(例えば月刊薬事)や定期刊行物(例えば薬事ハンドブック)、医薬業や卸の社史やHP、広報物、IR等、そして業界研究書を収集するとともに、年代別にテクストを整理しデータベース化する、であった。 国会図書館の所蔵資料は最もリッチであると考え、調査対象とする企業名で所蔵資料をサーチし、本研究課題と関連するものを全てリスト化し、未収集資料を集めた。その作業は順調に進みほぼ集めることができた。 加えて、集めたもの資料の整理を進めた。一部コンテクストのデジタル化難しい資料があり、その作業については完了することができず次年度に持ち越した。 計画と進捗状況を鑑み、本年度は概ね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、当事者に対するインタビュー調査から言説を収集することが主目的となる。具体的には、二次資料にあるテクストは大手の経営者の発言が中心であろう。そこで、1990年代に競争劣位であった外資系医薬業の経営者や後発の医薬業のMR、そしてコロナ禍の影響で延期となった卸業に対するインタビュー調査を実施し、テクストをデータベース化する、としている。 本課題遂行前から予定していたインタビュー調査の他、研究協力者等の協力もあり、複数の調査を行うことが可能となった。それを実践し、本年度に収集した資料等に記載されたものとの比較を行うために調査・テクスト化し、分析の準備をする。
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