研究課題/領域番号 |
23K12521
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柳 淳也 京都大学, 経営管理研究部, 特定講師 (30967609)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | LGBTQ / 企業家 / マイノリティ・アントレプレナーシップ / セクシュアル・マイノリティ / ジェンダー・マイノリティ / クィア / クリティカル・マネジメント・スタディーズ / アントレプレナーシップ / 質的研究 / マイノリティ / セクシュアリティ |
研究開始時の研究の概要 |
アントレプレナーシップは、日本語で「企(起)業家精神」等と訳される多義的な概念である。「ゼロから事業を立ち上げようとする精神」や「リスクに対して果敢に挑戦していく性質」「不確実性を伴う事業を開発し、組織化し、運営する能力と心構え」など多様な定義が存在する。本研究の目的は、LGBTQの起業家が、どのように戦略的に自身のアイデンティティをマネジメントし、コミュニティのネットワークを活用し、生きのびてきたかを明らかにすることである。それにより、アントレプレナーシップ概念を、より公平で正確で、かつより多様な観点が反映された包括的なものにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、LGBTQを含む非規範的なジェンダー、セクシュアリティを生きる起業家が直面する困難や、異性愛者との起業プロセスにおける戦略の差異を明らかにし、アントレプレナーシップ概念を、より包括的なものにすることである。 2023年度は、「LGBTQ起業家に関する研究動向を把握するために、システマティック・レビュー (Tranfield et al., 2003) を実施する予定である」との記載通り、当該年度は、LGBTQの企業家についてのレビューを実施してきた。こうしたレビューを踏まえて、2023年7月にはEGOSの国際学会にて、「Acting minorities with secrets: The potential of utilizing theatrical techniques in promoting diversity and inclusion education 」というタイトルで報告を行った。共著者らと共に、アントレプレナーシップにおけるLGBTQをはじめとしたマイノリティをいかに包摂した実践が可能かについての予備的な報告を実施した。当国際学会の参加により、著者がこれまでに実施してきたレズビアンの企業家に関する調査やトランスジェンダーの研究者とのネットワークを構築でき、定期的に研究進捗についての情報交換を実施してきた。 さらに、第二段階として位置づけていた「日本のゲイ・LGBTQ起業家がどのように戦略的に自身のアイデンティティをマネジメントし、コミュニティのネットワークを活用しているのか、起業家アイデンティティの自己認識」に関するテーマを遂行するために、LGBTQの企業家のインタビューを開始した。 こうした研究成果を踏まえ、2024年度は複数回の国際学会報告を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、「1. LGBTQやマイノリティ起業家に関する非欧米圏を含む網羅的な研究状況の把握(第一段階)」、「2. 日本のゲイ・LGBTQ起業家がどのように戦略的に自身のアイデンティティをマネジメントし、コミュニティのネットワークを活用しているのか、起業家アイデンティティの自己認識 (第二段階)」、「3. アントレプレナーシップ概念の行為遂行的再考(第三段階)」の3つの段階を予定している。 2023年度には、第二段階のインタビュー調査をすでに開始した。まだインタビュー実施数は多くはないが、一般的な企業以外のNPOや任意団体の立ち上げに関わった人など広義の企業家とのコンタクトがすでに可能となっている。これまでのインタビューを踏まえた調査では、ゲイ男性の企業家のゲイアイデンティティの自己認識の度合いとコミュニティとの関与の程度、カミングアウトの関係性についてのパターンを明らかにした。研究内容の一部は、すでに国際学会での研究報告を実施しており、かつ2024年度もすでに複数回予定している(発表採択済み)。 こうした状況を鑑み、「おおむね順調に進展している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き、日本のゲイ・LGBTQ起業家がどのように戦略的に自身のアイデンティティをマネジメントし、コミュニティのネットワークを活用しているのかを検討するために、LGBTQの企業家についてのインタビューを継続し実施する予定である。これまでの研究の進展により、LGBTQコミュニティと近い産業と、LGBTQコミュニティとは関係性が遠い産業に従事しているLGBTQ企業家が存在し、彼らがどういったアイデンティティを持つかによって、異なる起業パターンが存在することが明らかになってきた。そのため今後はLGBTQコミュニティと特に関連の深い特定の産業に着目した企業家行動を検討することを考えている。こうした産業に従事する企業家へのインタビューを通して、企業家間のネットワークが、異性愛者の男性あるいは女性企業家とどのように異なる傾向がみられるのかについて検討できると考えている。 2024年度は、5月25日・26日(日)に横浜で開催されるJMS Publishing Workshopにて研究発表を行う予定である。また、7月4日(木)-6日(土)に開催されるEGOSでもゲイ男性企業家についての報告を予定している。上記の通り国際学会やワークショップでの発表報告がすでに決定しているが、今後は当該研究における論文投稿も目指す。
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