研究課題/領域番号 |
23K12559
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
多田 伶 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00908288)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 消費者意思決定 / セレンディピティ消費 / カスタマージャーニー / 顧客満足 / マーケティング戦略 |
研究開始時の研究の概要 |
消費者は意思決定時に商品と運命的な出会いを果たすことがある。そのような顧客体験はセレンディピティ消費と呼ばれ、情報学や機械工学の分野で注目されてきた。本研究課題はセレンディピティの概念を消費者行動論に応用し、偶然の巡り合わせを伴う消費経験の構造を体系的に理解することが目的である。実験や調査等の実証的検討を通じて、企業が顧客満足度を高めるために必要な戦略的指針を得たい。
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研究実績の概要 |
本研究課題はセレンディピティの概念をマーケティング論や消費者行動論に応用し、顧客体験の構造を体系的に理解することが目的である。本研究は消費者が製品やサービスと偶然で幸運な出会いを果たす顧客体験を「セレンディピティ消費」と定義している。 現時点での研究実績は2つに大別される。第一に、日本国内における市場の動向を分析できた。タイトルもしくは本文に「消費者」を含む新聞記事を抽出し、2019年1月から2021年10月の各記事を月次で集計した。テキストマイニングの手法で消費マインドを定量化した結果、新型コロナウイルス感染症の拡大前後で、消費マインドが変化している傾向を示せた。これらの成果は日本マーケティング・サイエンス学会・第113回研究大会で報告している。 第二に、情報処理理論の観点からセレンディピティ消費の規定要因を明らかにした。消費者は日々の購買行動において、2つの思考モードを使い分けている。社会心理学の研究によれば、消費者は意識的に意思決定を下すこともあるが、無意識的に意思決定を下すこともあるという。質問紙調査および統計的データ解析を通じて、思考モードがセレンディピティ消費に作用することを示せた。これらの成果は査読付き論文として学術誌「消費者行動研究」に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は先行研究レビューを行った後、新聞記事データ、調査や実験で得た質的・量的データを分析するなかで、その成果を学会や論文等で発表した。これらのデータや知見を活かして、次年度の研究を進められる。以上より、研究活動がおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得られた成果は日本国内および海外の学会で研究発表を行い、学術誌への論文掲載を目指す。また、これまでの研究活動で判明した新たな課題は調査や実験等で検証する予定である。 今後の研究における推進方策は3つに大別できる。第一に、セレンディピティ消費に関わる分析枠組みを整理し、新たな理論モデルを作成する。先行研究レビューの知見をまとめ、当該分野の現状を示すことが目的である。第二に、大手百貨店や地酒メーカーを対象とした事例研究を行う。インタビュー調査は実施済みであり、定性的アプローチに基づき、優れた顧客体験の創造に成功した事例を分析する。事例研究を通じて、セレンディピティ消費の規定要因を解明することが目的である。第三に、顧客接点とセレンディピティ消費の関連性を検討する。定量的アプローチに基づき、質問紙調査で収集したデータから、顧客接点がセレンディピティ消費に及ぼす影響を分析しようと計画している。 以上の研究を進めていくなかで、セレンディピティ消費の源泉と影響を明らかにしたい。
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