研究課題/領域番号 |
23K12573
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
菊盛 真衣 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20778948)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | クチコミ / 文化的価値観 / 企業間クチコミ / B2Bクチコミ / 集団主義 / 権力格差 / 組織文化 / ソーシャルメディア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、文化的次元理論という消費者行動研究において近年注目されているアプローチを援用して、文化的価値観が、消費者間のクチコミ行動、および、企業間のクチコミ行動に及ぼす影響を解明することと、企業のマーケティング戦略に対して有用な知見を提供することである。具体的には3つの実証研究、(1)eクチコミの正負比率と文化的価値観が受信者に及ぼす影響、(2)SNSインフルエンサーのフォロワー数と文化的価値観が消費者に及ぼす影響、(3)企業によるクチコミ利用行動と文化的価値観が企業成果に及ぼす影響を分析する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、文化的次元理論を援用して、文化的価値観が消費者間のクチコミ行動、および、企業間のクチコミ行動に及ぼす影響を解明することと、企業のマーケティング戦略に対して有用な知見を提供することである。本プロジェクトにとって第1年度にあたる令和5年度においては、まず、本プロジェクト申請時に計画していた研究課題のうち、第1の研究課題である文化的価値観とクチコミの関係の分析に関連して、集団主義という文化的価値観をもつ国において、肯定的なクチコミが偽造ブランドの購買行動に及ぼす影響を検討した。中国の消費者からデータを収集し実証分析を行った結果、偽造ブランドに関する肯定的なクチコミは偽造ブランドに対する購買意図を高めるものの、消費者の面子意識や倫理的判断力が、そうした肯定的なクチコミの効果を弱めるということが見出された。この中でも特に、面子意識は、集団主義的な国に特有の概念であり、これが集団主義的な国において偽造ブランドが広まるのを抑制している可能性を示唆した。この研究成果は、査読付の海外学術誌である『Journal of Global Fashion Marketing』に掲載された。さらに、令和5年度においては、本プロジェクトの研究課題のうち、第3の研究課題である文化的価値観と企業間クチコミに関する研究も進展させることができた。具体的には、先行研究レビューを踏まえて、どのような文化的価値観をもつ企業にとって、企業間のクチコミが有効であるのかという問いに取り組んだ。企業からのサーベイデータを分析して、文化的価値観のうち権力格差や女性性の価値観の強い企業は、企業間のクチコミを利用することで、取引相手との関係性満足を高められることを見出した。この研究成果は、国内学会で発表された後、査読付の海外査読誌である『Industrial Marketing Management』に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
4年計画の本プロジェクトにおける第1年度においては、文化的価値観とクチコミに関する関連研究を行い、その研究成果は、海外査読誌『Journal of Global Fashion Marketing』に掲載されるに至った。さらに、文化的価値観と企業間クチコミに関する実証研究を行い、その研究成果を国内学会で発信し、マーケティング研究者やビジネス実務家からのフィードバックを経て、海外査読誌『Industrial Marketing Management』に掲載されるに至った。このように、当初の計画よりもデータ分析と研究成果発信を進めることができたため、本プロジェクトの進捗状況は当初の計画以上に進展していると判断されるだろう。
|
今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトの2年目にあたる次年度は、本プロジェクト申請時に計画していた研究課題のうち、1年目に取り組めなかった研究課題、具体的には、SNSインフルエンサーと文化的価値観が消費者の製品評価に及ぼす影響の分析に取り組む予定である。具体的には、国内外の学会での研究報告や、国内外の学術雑誌への研究成果発表を行うつもりである。さらに、文化的価値観とeクチコミに関する研究も進展させるべく、日本という集団主義的な国家において、どのような要因が、消費者のeクチコミ発信をもたらすのかについて検討を行いたい。
|