研究課題/領域番号 |
23K12574
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
|
研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
三浦 玉緒 流通科学大学, 商学部, 講師 (80907402)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 製造業のサービス化 / サービス・マーケティング / 使用価値 / 価値共創 / 消費者行動 / シェアリングエコノミー / サービス化 |
研究開始時の研究の概要 |
製造企業は、差別化による競争優位を獲得し収益を改善する手段として、サービス事業にシフトすべきという主張、いわゆる、「製造業のサービス化」は盛んに議論されている。しかし、先行研究の多くはB2Bの取引を対象にしており、B2Cの取引を対象にした研究は不足している。 本研究は、B2Cの取引を対象に、サービス化の成功要因の特定と企業に求められる対応について、製造企業と顧客側の観点から解明することを目的としている。 本研究によって、サービス化を企図するB2Cの製造企業がサービス化戦略を実践し、差別化による競争優位を獲得する手立てを明らかにできると考える。
|
研究実績の概要 |
本研究では、B2Cの取引を対象にしたサービス化研究の発展を主眼として次の2つ、1) サービス化の成功要因とは何か、2) サービス化における顧客の使用価値とは何か、という問いを研究課題に設定している。これらの問いに対し、それぞれ、1)サービス化の経路とサービス化のパターンを規定する要因を成立させる条件、2)サービス化における顧客の使用価値の構成要素を特定し、選択、あるいは、継続利用する消費者の意思決定に影響を与える条件について、企業側と顧客側の観点から明らかにすることを目的としている。 並行して「所有とシェアリングの選択に影響を与える要因の分析:シェアリングエコノミーの成長」について研究していたが、シェアリングサービス(SS)は、サービス化の1つの手段と考えており、本研究と関連している。SSを選択する消費者側の要因を分析した結果、先行研究でも指摘されているとおり、消費者は、一般的に議論されている環境問題の削減に貢献するためにSSを利用しているのではなく、SSを利用することによって削減される費用や得られる効用を優先してSSを選択していることが明らかになった。また、従来、消費者は、所有の代替としてSSを利用していると考えられてきたが、所有では満たされない欲求を満たすために商品を所有しながらSSを利用する補完タイプや、商品に強いこだわりを持ち自己実現のためにSSを利用する製品関与の高いタイプの消費者が浮き彫りとなった。このような、消費者の高次の内在的要因によって分類された消費者特性は、SSの選択要因とその後の利用パターンに影響を与えることも明らかになった。 消費者特性は、使用価値に関連していると考えられることから、SSについての研究成果は、本研究の課題の1つである、顧客の使用価値を特定し、選択、あるいは、継続利用する消費者の意思決定に影響を与える要因の検討に示唆を与える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度では、当初予定していた、8.の今後の研究の推進方策の①に示す企業側のインタビューを実施できなった。理由は、並行して進めていた「所有とシェアリングの選択に影響を与える要因の分析:シェアリングエコノミーの成長」についての研究に想定以上の時間を要したからである。シェアリングサービス(SS)の研究では、質的調査に基づき仮説を設定し、量的調査の結果を分析することにより仮説を検証した。その結果については、学会で発表し、論文を投稿し掲載された。しかしながら、特に投稿した論文の査読結果の対応に想定以上の時間を要したことから、量的調査を実施するための調査票の検討と調査の実施に遅れが生じ、その結果、調査結果を分析し仮説を検証する研究が次年度にずれ込んだことが、本研究の推進に影響を与えた。
|
今後の研究の推進方策 |
以下のとおり研究を進めたい。 ① サービス化に取り組むB2Cの製造企業数社を選択し、サービス化戦略の責任者にインタビューを実施する。サービス化の取り組み、必要な資源や能力、顧客の使用価値の定義などについて質問することにより、企業側の観点から、サービス化の成功要因を探索し、仮説を設定する。 ② ①でインタビューした企業の製品、あるいは、同じカテゴリーの製品を使用する消費者を対象にしたグループインタビューを実施する。①で設定した仮説について、消費者側の観点から探索的に分析することにより、使用価値の構成要素と、提供物を選択、継続利用する消費者の意思決定に与える条件について、仮説を設定する。 ③ ②と同じ製品、あるいは、同じカテゴリーの製品を使用する消費者を対象にしたサーベイ調査を実施する。①と②で設定した仮説を検証することにより、使用価値の構成要素を特定し、提供物を選択、継続利用する消費者の意思決定に与える条件を明らかにする。 ④ ①と③の結果を比較、分析した内容はレポートにまとめ、①でインタビューした企業の責任者に確認を依頼することにより、B2Cにおけるサービス化の成功要因の提案としたい。
|