研究課題/領域番号 |
23K12581
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
東 壯一郎 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (20908777)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | 資本予算 / 設備投資 / BBレシオ / 受注産業 / 機械製造企業 |
研究開始時の研究の概要 |
管理会計分野で今まで研究されてきた設備投資の意思決定においては、「経済性評価技法」が用いられ、その技法の精緻化や手続に関するものが多い。しかしながら企業の実務は多様で、先行研究からも一般的な管理会計のテキスト的な意思決定モデルだけでは、最終的な設備投資の意思決定は行われていない。また「資本予算」研究の理論と実務のギャップを埋めるような、企業の実務を具体的に反映した研究は少なく、「資本予算」における研究課題のひとつと考える。本研究課題では、申請者が企業での実務経験に基づき構築した半導体産業設備投資モデルについて、対象業種を日本の受注産業に拡張して、新たな設備投資モデルを構築することを試みる。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、日本の受注産業の設備投資モデルを構築するための研究を行い、以下の成果を得た。 ①日本の機械製造業に於けるBBレシオの有用性:先に構築した半導体企業および半導体製造装置企業の設備投資モデルの独立変数として、半導体市場における需給の先行指標であるBB レシオ (Book-to-Bill Ratio)を採用した。BBレシオは1.0を上回っていれば、需要が旺盛で業界の景況感や市況は、好調であることを示している。半導体製造装置企業と同じ受注産業のひとつである機械製造業における設備投資モデルの構築にあたり、機械製造業でのBB レシオの算定可否について、日経NEEDSの一般事業会社財務データを基に検証し、算定できることを明らかにした。また、算定したBB レシオと機械製造業の設備投資額との相関関係について考察し、設備投資モデルの独立変数としての有用性を明らかにした。 ②日本の機械製造業の設備投資モデルの構築:企業の実務は多様で、先行研究からも一般的な管理会計のテキスト的な意思決定モデルだけで、最終的な設備投資の意思決定は行われていないものと推察される。また、企業の実務を具体的に反映した設備投資モデルの研究は少なく、「資本予算」の領域における研究課題のひとつとして考察される。このため、筆者が企業での実務経験に基づき構築した半導体製造装置企業の設備投資モデルについて、対象業種を日本の受注産業のひとつである機械製造企業に拡張した。東証業種中分類の「機械」および日経業種小分類のうち「工作機械」および「繊維機械」において独立変数は、営業キャッシュ・フロー、BBレシオおよび自己資本比率を選択し、各独立変数にタイムラグ(△1年および△2年)を設定した設備投資モデルを構築した。 ③成果発表および情報収集:得られた研究成果は、国内論文誌に1編の論文が掲載された。また、国内学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、日経NEEDSの一般事業会社財務データを基に、収録されている全企業を対象にBBレシオを算定し、本研究では1.0超の企業を受注産業として抽出し、加えて継続して設備投資を実施している企業を分析対象とする予定であったが、機械製造企業を先行して設備投資モデルの構築を行った。このため、受注産業の選定は当初計画に比べて遅れてはいるが、機械製造企業に於いては、先行研究である半導体企業および半導体製造装置企業の設備投資モデルと同様に、当初計画で検討していた通りに、各独立変数にタイムラグ(△1年および△2年)を設定することで、設備投資モデルを構築することができたため、おおむね順調に進展しているものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に引き続き、日本の受注産業の設備投資モデルを構築するための研究に取り組む。 ①日本の受注産業の選定:日経NEEDSの一般事業会社財務データを基に、収録されている機械製造業を除いた企業を対象にBBレシオを算定し、本研究では1.0超の企業を受注産業として抽出し、加えて継続して設備投資を実施している企業を分析対象として確定する。 ②日本の受注産業の設備投資モデルの構築:先行研究である半導体企業および半導体製造装置企業の設備投資モデル、機械製造業の設備投資モデルと同様に、独立変数は、営業キャッシュ・フロー、BBレシオおよび自己資本比率を選択し、各独立変数にタイムラグ(△1年および△2年)を設定することで、設備投資モデルの構築を試みる。 ③情報収集および成果発表:関連する国内外の研究動向についての情報収集を行う。また、得られた研究成果については、国内学会および論文投稿等により、研究成果を発表する。
|