研究課題/領域番号 |
23K12585
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
藤谷 涼佑 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 講師 (90880849)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | フィードバック効果 / 情報開示 |
研究開始時の研究の概要 |
株式市場と経営者の意思決定との間には、複雑なメカニズムが存在すると考えられている。例えば、経営者が株式市場の状況を見て、その状況を自身の意思決定に反映するという経路がある。このように、情報を介して株式市場が経営者の意思決定に影響を与えることを、フィードバック効果(FE)と呼ぶ。FEが存在すると株式市場は単なるside-show(余興)ではなく、実体経済を動かす重要な要素と考えられる。しかし、FEのメカニズムを特定する試みには困難が多く、多くの実証的証拠が蓄積されている状況にはない。そこで本稿では、日本の情報開示制度をうまく利用して、明らかにされていないFEのメカニズムを検証することを試みる。
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研究実績の概要 |
当該年度における本研究の主な研究成果は、国内誌である『會計』に研究成果を通じて得られた知見をまとめた論文が1本、国際誌である『Pacific-Basin Finance Journal』に研究成果が1本掲載されたことである。 国内誌においては、継続して研究を行っている日本における四半期開示についての制度的議論の論点をまとめ、実証研究から得られた知見からどのような政策的含意が得られるのかを議論した。国際誌においては、株式市場の流動性が経営者の現金保有の意思決定に与える影響を、日本特有の制度に注目することで新しい視点から分析した。
これに加えて、新たな研究をワーキングペーパーの形式で公開した。この研究では、証券取引所による情報開示に関する要請によって、企業の情報開示がどのように変化しうるのかを実証的に検証した。具体的には、東京証券取引所による決算短信の早期開示の要請に対して、各企業がどのように反応したのかを検証している。
また、日本会計研究学会 第82回大会において、統一論題「四半期開示を巡る議論とディスクロージャー研究の課題」という報告を行い、研究で得られた知見を幅広い研究者に対して報告する機会を得ている。これに加えて、日本会計研究学会 第82回大会一般報告、日本経済会計学会第4回秋季大会においては個別の研究の発表を行い、これらの研究を進めるうえで重要な助言を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費課題である証券市場と経営者による情報開示との関係に関する研究を進展させ、査読付き海外雑誌への掲載が決定され、国内誌への1本の掲載確定や統一論題報告での研究成果報告を行っている。その一方で、申請者の研究機関の異動や物価高に伴って、海外学会への参加を見送った現状を鑑みて、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には、すでに3つの海外学会での報告を予定している。これらの報告機会を活かして国際雑誌への投稿を進めたい。また、これまでに行った証券市場と経営者による情報開示との関係に関する研究成果と、制度変更に伴った新たな情報開示実務の拡充を踏まえて、研究で得られた知識を今後の政策決定に役立てられる方向で研究を推進したいと考えている。
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