研究課題/領域番号 |
23K12586
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
柳田 具孝 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (40876249)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 差分の差分法 / 外生的ショック / コーポレートガバナンス / 企業パフォーマンス / 日本 / 株主権 / 株主代表訴訟 / 監査報酬 / レピュテーションリスク |
研究開始時の研究の概要 |
不正行為の発覚によって会社の経営陣が辞任した後で、新経営陣に率いられる会社が旧経営陣の責任を追及するなど、企業側が実際に役員の責任を追及することがある。しかし役員の責任を追及する際に、本来追及すべき責任の追及がなされない可能性がある。そのため個々の株主に会社のために役員の責任を追及する訴えを提起することが認められている。これが株主代表訴訟である。本研究では、株主代表訴訟の提起によって企業の監査コストが上昇するという仮説を、実データを用いて差分の差分法により検証する。本研究は、コーポレート・ガバナンスにおける株主権の行使が結果として企業に負の影響を与えるという新しい証拠を提示する。
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研究実績の概要 |
主な研究成果は以下の通りである。これは研究課題「株主権行使の副次的効果-株主代表訴訟が監査コストに与える影響-」を進める中、副産物のような形で得た研究成果である。日本では2018年、過重労働から労働者を守り、健康を維持し、ワークライフバランスを実現するために労働基準法が改正された。 この改正により、日本企業は従業員に5営業日の有給休暇を付与することが義務付けられる。 今回の調査では、この外生的ショックである政策変更の影響を調査したところ、2018年の法改正により売上高の平均成長率が5.4%近く増加したことが分かった。 これは、従業員の心身の健康増進や働き方の効率化によって企業の業績が向上することを示唆している。 この研究は、企業のCSR活動に関する新たな証拠を提供する貢献がある。 さらに、この政策変更は企業の業績にプラスの影響を与えたため、この研究は外国の規制当局や規則制定機関向けのパイロットケースとなる。 当初の研究課題は日本における株主代表訴訟が監査コストに与える影響であった。株主代表訴訟は役員の不正行為の存在を伺わせ、被告会社の名誉信用を低下させる可能性がある(Deng at al., 2014)。先行研究では名誉信用といった社会的規範が企業の監査コストに影響を与えることが明らかとなっている(Leventis at al., 2013)。そこで本研究では、株主代表訴訟の提起によって企業の監査コストが上昇するという仮説を、差分の差分法により検証した。データセットを構築し分析したが仮説は支持されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した仮説は支持されなかったものの、差分の差分法や外生的ショックを利用するという視点から、いくつか副産物のような形で研究成果の導出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
コーポレートガバナンスの観点から法改正などの外生的ショックを利用し価値ある知見を導出したい。監査との関連では2020年公益通報者保護法の改正に着目している。購入したデータベースも再利用している。
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