研究課題/領域番号 |
23K12623
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
井口 尚樹 目白大学, 社会学部, 専任講師 (40825494)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | マネジメント / 経営 / ビジネス誌 / 正当性 / 言説分析 / 資本主義 / 労働市場 / 言説 / 人事管理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日米韓の1980年代以降の経営書の言説分析を通じ、資本主義のあり方を正統化し、人々を資本主義に動員する「資本主義の精神」の変化の仕方の違いを分析する。従来の経営や人事管理の仕方への批判と、「望ましい」とされる経営・人事管理の仕方の変遷を記述する。そしてその正統化に各国の経営学者・コンサルタント・経営者等が果たした役割を記述する。その上で、国・時代を問わず共通する点と、違いを分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は日米韓の経営言説を比較することを通じ、経済活動の正当化の仕方や、それに基づく具体的な経営管理手法や、望ましいとされる人材・キャリアの違いを明らかにすることを目的とするものである。その際、特に1980年代以降の各国における言説の変遷やグローバル化による収斂を考慮に入れ、分析を行っていく。初年度は主に、方法論の精緻化、日米のビジネス誌上の経営言説の分析と、日米韓の労働市場の比較分析を進めた。 第1に、方法論について、フランスの「資本主義の新たな精神」への英米の経営学者からの批判と、英米の経営言説研究を検討した。批判的言説分析のアプローチに基づき、分析手続きを明確化した。 第2に、経営言説について、まずビジネス誌上の記事のカテゴリー化を行い、経営戦略、上層マネジメント、下層マネジメント、起業家等の分類をし、各国の同種の言説の比較の素地を整えた。その上で、日米のビジネス誌におけるそれぞれの記事数および著者の比較から、雑誌の性格の明確化をした。 雑誌記事の質的分析からは、1980年代の日本の経営管理手法のアメリカでの受容が、必ずしもそのままの形態ではなく、批判的になされていたことが明らかになった。具体的には、組織全体の方向性や上層マネジメントの役割の強調、時間外活動参加の前提の問い直しなどの特徴が見いだされた。それらは「現場の声」の限定性を指摘するものであり、それに基づき、日本の手法を導入する際に改変を加える必要を説くものであった。上記の批判の内容について、書籍の章にまとめた。 第3に、日米韓の労働市場については、流動性についての比較を行った。3か国の量的データをもとに、転職意向・経験を有する者の意識の比較を行い、日本における転職の意味づけの特殊性を明らかにし、論文への投稿準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究にとっての重要な先行研究であるフランスの理論・方法論的枠組みの弱点を、英米の方法論的枠組みを加えることで補い、データ分析の実際の指針を得た。韓国の言説をまだ分析できていないなど課題はあるが、分析を開始し、一部をまとめることができた。またマネジメントの背景にある労働市場の特徴およびそれに対する人々の意識についてもデータから把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に得た方法論上の方針に沿って、特に日本と米国の経営言説の質的分析を進め、形式、内容の両面で経営の正当性の確保の仕方を明らかにしたい。研究成果を学会で報告し、得られたコメントをもとに論文投稿の準備を行う。
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