研究課題/領域番号 |
23K12627
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
岡沢 亮 愛知淑徳大学, グローバル・コミュニケーション学部, 助教 (70966960)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | メディア / エスノメソドロジー / 会話分析 / ユーモア / 成員カテゴリー化 / 相互行為 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な相互行為の中で私たちは、自他に性別・人種・民族・国籍・セクシュアリティ等に関わるカテゴリーを帰属する「成員カテゴリー化実践」を行っている。本研究は、こうした成員カテゴリー化実践が、マスメディアやソーシャルメディア上で、ユーモアを産出すると同時に差別等の道徳的問題を発生させる相互行為的メカニズムの解明を目指す。その際には、それぞれのメディアに特徴的な参与枠組みが、上記メカニズムにどのように関係しているのかに焦点を当てる。これにより本研究は、ユーモアと差別という共に社会的・学術的に重要でありながら捉えることが難しい現象に対して、社会学的な相互行為論のアプローチにより接近する視座を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究は、マスメディアとソーシャルメディア上で行われる相互行為において、参与者が自他を性別・人種・民族・セクシュアリティなどに基づき分類する「成員カテゴリー化実践」に焦点を当てる。エスニック・ジョークに典型的なように、同じ成員カテゴリー化実践が、ある人々にとってはユーモラスなものとして楽しまれるのに対し、他の人々にとっては差別的なものとして非難されることがある。そこで本研究は、エスノメソドロジー・会話分析の方法論的態度の下で、成員カテゴリー化実践の帰結としてユーモアと道徳的問題(差別等)が同時に生じる相互行為的メカニズムを明らかにすることを目指す。その際には、各メディアの参与枠組がカテゴリー化実践の展開と理解をどのように方向付けているかについても分析を行う。こうした作業を通じ、ユーモアと差別という学術的・社会的に注目に値するトピックに対して、相互行為分析的なアプローチの有効性を示す。 2023年度は、成員カテゴリー化実践、メディア上の相互行為、ユーモアと差別の関係性をめぐる先行研究を収集し、社会学・言語学・メディア研究・コミュニケーション研究領域におけるこれまでの議論の展開を整理した。その中で、成員カテゴリー化実践の分析方法論に関しても、カテゴリー化と性質の帰属(attribute ascription)の区別やカテゴリー化の取り消し可能性等を中心に検討を行った。また、マスメディア・ソーシャルメディアにおいて、参与者によるカテゴリー化実践がなされ、それが他の参与者によってユーモラスなものや道徳的に問題あるものとして捉えられている実際の相互行為データを収集した。データの分析結果に関して、国際学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の収集と検討、成員カテゴリー化分析の方法論に関する検討は基本的に首尾よく進んでいる。データ収集に関しては、本研究の対象となる現象が見られるマスメディア・ソーシャルメディア上の相互行為データの書き起こしを進めている。分析に関しても、萌芽的な段階であるが進めており、総じて現時点での進捗に大きな問題はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集と分析に関しては、相互行為参与者間において成員カテゴリー化実践がユーモアと道徳的問題の双方を引き起こしているケースの収集を続け、体系的に現象を把握するとともに相互行為の展開パターンの差異にも注意する。分析をさらに進め論文化し、国際査読誌への投稿を中心に、その成果の公表を目指す。
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