研究課題/領域番号 |
23K12711
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
福嶋 祐貴 京都教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 講師 (10826100)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 協働的な学習 / 学習評価 / 教育評価 / ICT / 協働的な学び |
研究開始時の研究の概要 |
「令和の日本型学校教育」の実現が期待され、学習者の協働(協働的な学習)を生かした授業づくりがいっそう重視されているが、そこでの学習評価は実践現場において難題となっている。本研究は、協働的な学習には七つのモデルがあるという知見を踏まえ、そのそれぞれに適した評価観・評価基準・評価方法を明らかにし、協働的な学習の評価の全体的な枠組みを構築していくことを目的とする。具体的には次の2点に取り組む。A) 協働的な学習の評価に伴う構造的な課題の検討をもとに、多様なモデルに対応した評価の指針を構築する。B) 実践現場でデザイン・リサーチを行い、多彩なモデルに対応できる実践指針を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、協働的な学習の評価を対象とし、現在ICTを活用して行われている研究の限界を乗り越え、協働的な学習の多様な形態に対応できる実践的に有用な知見を開発・検証・発信することにある。協働的な学習に対する学習評価が実践現場において難題となっているなか、その評価方法についてはICTを用いて研究が進められているものの、対象とする学習像、評価観・評価基準の検討、適用される実践現場の3点において限界がある。こうした課題を乗り越えるため、本研究では次の二つの課題を設定している。(A)協働的な学習の評価に伴う構造的な課題の検討をもとに、多様なモデルに対応した評価の指針を構築する。(B)実践現場でデザイン・リサーチを行い、多彩なモデルに対応できる実践指針を明らかにする。 初年度となる2023年度は、課題Aに関わる文献調査に着手し、主としてそちらに注力しながら、課題Bについてもフィールドを活用して検討を始めた。具体的な成果は次の2点にまとめられる。 (1)学習者の小グループにおいてみられる地位(status)格差の是正を目指した協同学習理論を再検討し、協同学習における〈役割〉概念の意義づけと学習課題の在り方の指針の見通しを得ることができた。 (2)ICT、とりわけICレコーダーを用いた学習者の相互作用分析や、音声認識機能の活用によるグループ内ディスコースの文字起こしなどを通じて、人的・物的体制の必要性と実践上の限界について確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の研究により、「研究実績の概要」において記した(1)および(2)についてある程度の進展が得られた。 (1)としては、米国における協働的な学習の歴史的な成立・展開過程の中で見られた社会学的視点に基づく理論を検討し、グループ内で見られる地位格差の分析およびその解決をいかに行うか、そしてその解決のために工夫すべき学習課題の在り方について考察を進めた。このことは、学習課題と評価課題の異同に注意して検討を進めることで、個と集団の問題を考慮した学習評価の在り方を明らかにすることにつながるものと思われる。 (2)としては、報告者自身が行う授業をフィールドとして活用し、ICレコーダーによる録音およびその録音データの文字起こしや、音声認識機能によるグループ内ディスコースの自動文字起こし、ドキュメントの共同編集などのICT活用を受講者らとともに試みた。そのうえで分析ないし評価に取り組もうとしたものの、評価基準であったり、評価対象となる因子がデータのどこに表れているかの関連づけであったりといったいくつかの点について困難が共有された。ここで確認された困難は、技術的課題に加え、質的研究においてしばしば言及される課題と概ね一致しつつ、一般的な会話分析との目的の相違などの点で独自の難しさが実感された。 しかしながら、いまだ具体的な成果を学会等で発表する段階には至っておらず、(2)のうち質的手法の可能性について若干の報告を行ったに過ぎない。したがって、現在までの進捗状況は「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度の研究内容をさらにブラッシュアップし、具体的な成果として発表することをまず目的とする。 そのうえで、課題Aとしては、当初計画において2024年度より開始を予定していた、評価基準に関する検討に着手する。先述の(1)において検討対象とした協同学習理論では、学習課題として、協働するに足るレベルの課題、すなわち教科の本質に関わるオープン・エンドな課題を活用することが重視されていた。これは真正の評価論でいうところのパフォーマンス課題や、学びの共同体理論でいうところの「ジャンプの課題」に類するものであると考えられる。このことを手掛かりとして評価基準の策定方針や試案の作成に取り組む予定である。 課題Bに関しては、近年学習評価の文脈において会話分析の手法に注目されることがあることを受けて、協働的な学習の理論としてそれをどう生かしていけるか、評価の妥当性・信頼性・実行可能性等を軸に検討していく。また、2023年度には学校現場と新たにやりとりをする機会も増え、当初計画よりもフィールドを拡充できる可能性が出てきた。計画書に記した七つのモデルに即した評価方法を検討する際に、必要に応じて協力を得ていきたい。
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