研究課題/領域番号 |
23K12715
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
原田 亜紀子 立教大学, 文学部, 特任准教授 (20882583)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 民主主義教育 / 異文化理解教育 / シティズンシップ教育 / デンマーク |
研究開始時の研究の概要 |
デンマークの学校民主主義の特徴は対話型・参加型民主主義モデルだが、その実践において今日的な課題となっているのが、学校での多文化化とのバランスである。デンマークは従来、福祉国家として人道主義の立場から寛容な移民・難民の受け入れを行っていたが、2000年代の中道左派政権以降大きく転換した。しかし政治学研究と比べ教育学研究はこの領域で遅れをとっており、学校現場での実態は不明である。そこで本研究は、民主的な授業や学校運営の中核となる教師の教育で何が行われ、学校における対話型・参加型民主主義モデルが異文化理解にどう取り組んでいるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、EU諸国で最も厳格な移民政策に転換したデンマークにおいて、学校現場での民主主義教育として、異文化理解教育にいかに取り組んでいるのか、学校民主主義の源流である教師教育や教育現場での教師の実践から検討することを目的とする。 デンマークでは戦後の高度経済成長期に国際移民を受け入れる中で、福祉国家として母語教育やデンマーク語教育、自国民と同様の教育保障を行ってきた。しかしグローバリゼーションや極右政党の台頭、中道左派から中道右派への政権交代という社会的・政治的変化の中で、移民受け入れ政策が厳しくなっている。こうした状況下で、教室内の非西欧圏の子ども達の扱いや多様性の保障はどのようになっているのだろうか。市民権を獲得した移民にとっても、社会的連帯、対話型民主主義、平等といったデンマークの規範を基礎とした社会への統合は難しく、むしろこうした規範が排除につながる矛盾も孕んでいる。本研究は、教育に関するこうした社会の動向、移民政策厳格化の余波とその実態を明らかにしたい。 2023年度は、デンマークや北欧諸国の移民・難民の教育に関する国内外の文献研究を行った上で,北欧閣僚理事会や、デンマーク教育大でのインタビューや高校での予備調査、文献収集を行った。その結果、以下が明らかになった。第一に、キリスト教が世俗化され「文化」として見なされる一方、イスラム教は「宗教」として認識される文化が学校に根付いている。第二に、多文化教育や異文化間教育に関する教育政策は導入されておらず、現場の教師に依存する状況になっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2023年度は、政策転換と教師の教育原理、行動、理念や哲学を検証するために、教育政策の関連政策文書の検討に加え、現地での北欧閣僚委員会関係者や、デンマーク教育大の教育学研究者へのインタビュー調査と高校での予備調査、文献収集により、研究計画にもとづき、必要な情報を入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、教師は教育現場において、移民政策や教育政策の変化をどう受け取っているのか、その葛藤や、どのような疑問をもちどのように解消したのかを、源泉の教師教育にさかのぼることで明らかにする。具体的には、2023年度の政策の検討をより深めるための教育省や移民省でのインタビューを実施し、加えて教員養成大学でのインタビューや、3年目に備えた高等学校での予備調査の継続を計画している。
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