研究課題/領域番号 |
23K12723
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
須永 哲思 天理大学, 人間学部, 講師 (80963876)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 教育史 / 1950年代 / 冷戦体制 / 生活綴方 / エスペラント / 郷土教育 / 社会科教育 |
研究開始時の研究の概要 |
1955-57年、社会科用副教材『世界の子ども』(平凡社、全15巻)が刊行された。この副教材は、世界中から集めた子どもたちの作文・図画と、編者が付した解説文・写真・図表で構成される。教材作成時の一次資料群(吉田文書)には、編集会議ノート、作文収集の際の国際通信、翻訳前の原作文や不採用作文など、多様な資料が含まれる。 本研究は、『世界の子ども』・吉田文書の分析を進めることで、①この副教材は戦前―戦後の郷土教育運動・生活綴方運動・エスペラント運動の結節点として編纂されたことの教育史的な意義を明らかにし、②綴られた子どもたちの生活の世界の中に「世界史」がどのように刻印されているかを考察する。
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研究実績の概要 |
『世界の子ども』(全15巻、平凡社、1955-57年)は、世界中から集めた子どもたちの作文・図画と、それに編者らが付した解説文・写真・図表などで構成された社会科用副教材であり、子どもたちが自身の生活を綴った作文を読むことを通して世界地理について学ぶことが想定されていた。副教材が編集された1950年代は、東西冷戦体制、植民地主義の克服、世界平和の実現という三重の課題が世界史において複雑なねじれを見せており、冷戦体制という軍事的・地政学的なリアリティを形作られるとともに、その中で生きる人びとの学智のあり方や世界認識のあり方も様々な次元で規定されていた。作文として綴られた世界各地の子どもたちの生活の世界を読み解き、その作文の中に世界史(戦争・植民地にまつわる経験や冷戦体制という時代背景)がどのように刻印されているのかを考察することで、「子どもの世界史」を明らかにすることを試みている。 申請者を世話人とする「子どもの世界史」研究会を2021年8月から定期的に開催し、それぞれの国・地域史を専攻する研究者の参加を募りながら多言語に渡る資料の整理・分析・検討を共同研究として進めている。2023年度では、計4回の研究会を開催し、『東ヨーロッパ篇』(ポーランド)、『東南アジア篇』(インド・パキスタン)、『日本篇』、『ソ連篇』について、それぞれの地域・分野を専攻する研究者とともに、主に刊行版に所収された作文内容を中心に検討した。 また、『世界の子ども』の企画編集長であった吉田九洲穂がエスペラントを学んだ京都人文学園(1946-1957年)について、京都勤労者学園所蔵の一次資料を整理・目録化作業を行い、その研究成果を『人文学報』第122号(2024年6月刊行予定)にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者を世話人とする「子どもの世界史」研究会を2021年8月から定期的に開催し、それぞれの国・地域史を専攻する研究者の参加を募りながら多言語に渡る資料の整理・分析・検討を共同研究として進めている。2023年度では、計4回の研究会を開催し、『東ヨーロッパ篇』(ポーランド)、『東南アジア篇』(インド・パキスタン)、『日本篇』、『ソ連篇』について、それぞれの地域・分野を専攻する研究者とともに、主に刊行版に所収された作文内容を中心に検討した。 また、『世界の子ども』の企画編集長であった吉田九洲穂がエスペラントを学んだ京都人文学園(1946-1957年)について、京都勤労者学園所蔵の一次資料を整理・目録化作業を行い、その研究成果を『人文学報』第122号(2024年6月刊行予定)にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
デジタル化・目録化作業については、未着手分が膨大にあるため、引き続き進めていく必要がある。 また、整理・分析が進んでいない『北米篇』・『北欧篇』・『西アジアアフリカ篇』・『総説篇』について、取り組んでいく必要がある。刊行された各巻の検討作業の終わりは見えてきたため、残り4巻の検討を終えた後は、より一次資料にそくした分析・検討を進めていきたい。
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