研究課題/領域番号 |
23K12736
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 宝塚大学 |
研究代表者 |
数実 浩佑 宝塚大学, 東京メディア芸術学部, 講師 (60908622)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教育格差 / 機会の平等 / 分配的正義 / 運の平等主義 / 実証研究と規範理論 / サーベイ実験 / メリトクラシー / 生存保障 |
研究開始時の研究の概要 |
データに基づく実証的分析を得意とする教育社会学は、教育格差の実態把握および原因探求に精力的に取り組んできた。ところが「格差は望ましくない」という平等主義的な前提に疑念をもつ者も少なくない。本研究は、「機会の平等」という教育格差研究の規範的前提を、政治哲学の平等理論を援用しながら再検討することを通して、「機会の平等」の意義と限界を明らかにする。加えて、オンライン・サーベイ実験を通して、どのような理由・説明を提示すれば、世論は教育格差是正の必要性を理解しうるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、「格差は望ましくない」という教育格差研究が有する平等主義的な規範的前提の問題点を検討したうえで、世論に対して格差是正の必要性を説得的に示しうる論理・言説を導出することを目的とする。 この目的に向けて、本年度は主に「教育機会の平等」の意義と限界について、政治哲学の平等論を応用した理論的研究に取り組んだ。特に、公平性をめぐる現代政治哲学における主流の平等理論、すなわち、運の平等主義(luck egalitarianism)を参照しながら、教育格差研究の規範原理の考察を中心に行った。具体的には、「教育格差を是正すべき」という背後にある公平性の価値は、運の平等主義によって明確化/正当化できることを確認したうえで、エリザベス・アンダーソンによる運の平等主義の批判(過酷性批判および屈辱性批判)を検討することを通して、公平性という価値を追求することに伴う問題点を明らかにした。そのうえで、公平性に付け加えるべき価値として、再出発、充分性、尊重という3つの価値を取り上げ、なぜそれらの価値が重要であるか、今後の教育格差の実証研究にいかなる論点を検討すべきかについて考察した。 また世論がもつ教育の平等観を明らかにするための実証的研究については、Web調査やサーベイ実験の方法論に関してレビューを行い、今後実施予定のWeb調査に向けた準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育格差の規範的前提にかかわる理論研究について、"Does Fair Education Mean Ideal Education?: Focusing on Anderson's Critiques of Luck Egalitarianism"というタイトルの論文にまとめ、Educational Studies in Japan: International Yearbook(No. 18)への掲載が決定しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き政治哲学の平等論・分配的正義の研究成果をレビューしながら、教育格差研究に対する理論的含意を検討する。特に、関係的平等、関係的自律、アファーマティブアクションなどをキーワードに研究を進めていく。 世論がもつ教育の平等観を明らかにするためのWeb調査を通した実証的研究に向けて、今後は調査設計および質問項目の検討、そしてプレ調査の実施・分析を進めていく。
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