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高橋五山の紙芝居と児童雑誌・漫画との接点の解明および今後の紙芝居発展への取り組み

研究課題

研究課題/領域番号 23K12751
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分09030:子ども学および保育学関連
研究機関法政大学

研究代表者

高橋 洋子  法政大学, 国際日本学研究所, 研究員 (20972590)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード高橋五山 / 紙芝居 / 絵本 / マンガ / アニメ / 出版 / メディア
研究開始時の研究の概要

高橋五山(1888~1965)は出版紙芝居の創始者として知られているが、絵雑誌、漫画なども精力的に編集してきた。本研究では、従来の漫画研究、メディア研究に紙芝居を加えた新たな視点を提示し、出版文化および視覚メディア研究の再検討を試みる。
高橋五山が活動拠点とした新宿区落合地区周辺が文化芸術の創造的な発展を生み出す場所であったことを指摘し、同地域が児童出版文化の拠点でもあったことを明らかにした上で、高橋五山が創始した紙芝居が保育現場で重要視され、出版文化の中で位置づけられるようになるまでの歴史的経緯を考察する。現在まで継承されてきた紙芝居文化の存在意義を示し、今後の発展に寄与したい。

研究実績の概要

初年度は主に以下の5項目の活動を行った。①「誰でも紙芝居プロジェクト」と命名して高橋五山の多彩な紙芝居の実演会を実施した。老若男女15人(小学生・大学生・初心者・経験者)の実演者と午前・午後あわせて132人の観客で16作品の上演を行い、作品の理解を深めることができた。無記名・提出自由のアンケートでは54人の回答が得られ、「とても良かった」40人、「良かった」10人、「普通」2人、「記入漏れ」2人だった。「どの作品もよかった」「古い話もとても新鮮に感じた」など好評であった。五山の紙芝居の表現技法を理解すると同時に、デジタル社会の中にあっても、紙芝居は独自の視聴覚空間をつくる力があり、魅力あるメディアであることを再確認できた。
②書籍『高橋五山の総合的研究:デザイン・絵雑誌・紙芝居』(風間書房、2024年2月)は大学院の学位論文に新たな情報を加えたもので、五山の生涯にわたる活動の全貌を明らかにした。③2024年3月刊行の書籍『読んで観て聴く近代日本の仏教文化』(法藏館)に分担執筆者として加わり、論文「最澄絵伝の歴史的展開:大正期から昭和期を中心に」を発表して仏教界での高橋五山の紙芝居の役割を明らかにした。
④論文「高橋五山の子ども漫画史への貢献:大正期から戦中期を中心に」(『マンガ研究』30号、2024年3月)では、大阪府立国際児童文学館所蔵の学年別雑誌の漫画を詳細に調査して、高橋五山が大正期から漫画家を支援し、戦中期の厳しい状況下においても、紙芝居に加えて絵本や漫画本の編集・出版を続けていたことを明らかにし、子ども漫画史に果たした役割を示すことができた。
⑤アーサー・ビナード氏(2019年五山賞受賞)との対談内容は『子どもの文化』(622号:2023年8月)に掲載されたが、「紙芝居は皆一緒になって楽しめる人力の文化装置」であることをアーサー・ビナード氏と共有することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上記の「研究実績の概要」欄でも記したように、研究開始の初年度は、単著の書籍1点と分担執筆の書籍1点を刊行することができた。さらに査読付きの『マンガ研究』30号に論文が掲載された。10月15日には、高橋五山の紙芝居上演会を開催し、紙芝居の有効性を確認できた。また、大学の授業で紙芝居実践を行っている帝京大学の協力を得て、これまで蓄積されてきた手作り紙芝居の資料調査および帝京大学幼稚園における紙芝居実演会に参加することができた。この調査結果は分析できる状態となっている。以上の成果から初年度は順調な研究のスタートを切ることができたと考える。

今後の研究の推進方策

2024年度は論文発表だけではなく、ワークショップや展示会、紙芝居ハンドブックの作成などを通して一般社会への紙芝居文化の発信を行う。以下の項目を実践していくことを考えている。①2024 年3 月刊行の『読んで観て聴く 近代日本の仏教文化』(法藏館)をもとに「大正から昭和期における最澄絵伝の展開-仏教紙芝居と天台宗-」と題する発表を5月に行う予定である。
②帝京大学での紙芝居づくりの資料調査をもとに、論文を投稿するとともに、小学校の紙芝居ワークショップに参加し、紙芝居を用いた教育実践としてのモデル化にも展開していくことができるか模索していく。③「世界に広がる日本生まれの紙芝居」というテーマで、戦前・戦後に出版された高橋五山の紙芝居の展示会を行い、現代まで継承されてきた紙芝居について発信していく。④国際協力のNGO「ラオスのこども」と「シャンティ国際ボランティア会」の要請をうけラオス・アフガニスタン・カンボジア・ミャンマー・ネパールで紙芝居の普及活動や出版を長年にわたり協力しているやべみつのり氏の活動の紹介を行い、紙芝居が海外まで普及していることを発信していく。
⑤近年急増しているマンガ展やマンガ文化施設の視察を実施し、展示などの手法や観点の調査研究を行うことで、紙芝居を広く発信するための知見を得る。
⑥上記の研究実践をもとに、社会的な紙芝居の活用について検討し、手作り紙芝居を推進しているやべみつのり氏や紙芝居文化推進協議会等の協力を得ながら、外国語解説付「紙芝居ハンドブック」の作成に取り組みたい。
⑦2025年度に向けて、高橋五山を軸とした新宿区落合地区周辺の児童文化に関係した人々について検証し、人的ネットワークの小冊子の作成に着手したい。落合地区の歴史文化に関する資料については、コミュニティ「おちあいあれこれ」に蓄積があるため、協力を得ながら進めていく。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 編集者高橋五山の子ども漫画史への貢献ー大正期から戦中期を中心にー2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋洋子
    • 雑誌名

      マンガ研究

      巻: 30 ページ: 108130-108130

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [図書] 高橋五山の総合的研究ーデザイン・絵雑誌・紙芝居ー2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋洋子
    • 総ページ数
      340
    • 出版者
      風間書房
    • ISBN
      9784759925012
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 読んで観て聴く 近代日本の仏教文化2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋洋子 森覚 大澤絢子 塩谷菊美 今井秀和 渡辺賢治 嶋田毅寛 君島彩子 マイカ・アワーバック 平山昇 パリデ・ストルティーニ 小二田誠二 金山泰志 ブレニナ・ユリア 井川裕覚
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      法藏館
    • ISBN
      9784831855848
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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