研究課題/領域番号 |
23K12758
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 大阪総合保育大学 |
研究代表者 |
金重 利典 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 講師 (10847619)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | facial expression / trait inference / facial expressions / infants / emotional state |
研究開始時の研究の概要 |
本申請課題では、乳児がいつごろから表情を一時的な感情手がかりとしてのみならず、一貫した行動特性の手がかりとしても利用するのかを3つの研究を行うことで明らかにする。具体的には、まず研究1において、研究の不足している先行事象と表情との関係性についての理解を6か月児・8か月児を対象として調べる。ついで研究2において、表情の表出の仕方が場面を超えて一貫するとみなすかを、研究1の結果に基づいた月齢において調べる。最後に、研究3において表情表出の仕方がその人物への好みへ影響を与えるかを研究2と同じ月齢を対象として調べる。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、特定の場(被援助/非妨害)において特定の表情(幸福/怒り表情)を表出することを理解しているかを調べる研究1、ある状況においてその場にそぐわない表情を表出する人物が、異なる状況でもその場にそぐわない表情を表出すると考えているかを調べる研究2、その場にあっている表情を表出する人物をその場にそぐわない表情を表出する人物よりも好むかを調べる研究3からなるものである。本年度は、すべての研究に用いる刺激の作成をまず行った。その後、成人を対象に刺激の表情の妥当性を検証する実験を行い、刺激の選定を行った後に、実験プログラムの作成を行った。 また本研究は、刺激のどの部分を注視しているかや瞳孔系を継続的に記録する装置を用いて記録・測定する手法を用いるが、この装置を用いた乳児の研究手法では、さまざまな測定項目が分析に用いられており、どの測定項目を採用するかの共通見解が得られていないことから、対象となる乳児以外にも、計画時には考慮していなかった成人において比較データを収集する必要性があることに気づいた。そのため、乳児のデータ収集の前に成人のデータを収集している。この成人のデータをもとに、例えば、用いた実験刺激のどの範囲を対象とするか、具体的には画面全体か、表情のみを用いるか、といったような乳児を対象とした実験時に適応可能な測定方法を見出すことを目指している。 さらに、幼児期の特性推論にかかわる研究を概観した。幼児期、特に3-5歳にかけて、特性についての理解が進むことを確認したことから、幼児、特に3-5歳についてを対象とした実験を行う必要性を見出した。そのため、乳児や成人で用いる実験手続きを幼児用に修正したものを考案し、提携園での幼児データの収集を計画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、勤務校の研究倫理委員会へ乳児、幼児、成人を含めた研究計画の倫理審査を申請し、実施の許諾をすでに得ている。 次に実験刺激の作成、妥当性の検証については、3つの研究すべてに用いるものについて順調に進んでいるため、すぐにデータ収集を行える状況である。しかし、本来対象としていた乳児の実験を行う前に、分析に用いる測定項目や分析枠組みを決定するための成人を対象としたデータの収集を行う必要性が生じてきたことから、比較を行うための成人のデータ取集を進めている状況である。そのため、当初の計画で予定していたように乳児のデータ収集に進めていない。今後は、早急に成人データの収集を終えて分析を行い、乳児の研究に必要な分析項目・枠組みについて決定する必要があるといえる。 また、乳児を対象とした研究において困難が生じやすい乳児の参加児のリクルートについては、勤務校と関連のある小規模・家庭的保育の園の施設長と連絡をとっており、研究内容の説明を行った上で実施の了解を取り付けている段階である。そのため、成人のデータを収集し終えた段階で、保護者の同意を得たのちに乳児のデータ収集にすみやかに移行することが可能であるといえる。幼児のデータ収集においては、研究計画を追加で立案した段階であり、大学に併設された保育所・幼稚園にデータ収集の依頼を今後行っていくところである。 以上の点から、本研究課題の進捗状況については、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、成人のデータ収集を速やかに終え、分析に必要な測定項目・枠組みの決定することを第一に進める。 乳児のデータ収集に必要な参加児のリクルートについては、現状の小規模・家庭的保育の園のみでは、研究の完遂に必要な数に満たないことが予測されるため、他の大規模園への依頼も実施する。さらに勤務校の学生が実習等で訪れている勤務校の近隣の保育所へ、保護者宛に広告を配布するよう依頼することを予定している。また、外部の園への協力のみならず、勤務校内の実験室での実験を行うために、大学のHPで参加児の募集することや、場合によっては心理調査を行っている業者へ乳児のリクルートを依頼することも併せて行っていく。また乳児のデータ収取と並行して、幼児のデータ収集のために、提携園への依頼を乳児のリクルートと同時に進めていく予定である。 最後に、表情理解や特性理解についてのそれぞれの領域での研究は一定数存在数が、表情と特性の関連についてを扱った研究が少ないことから、これらの研究を改めて整理することで、データ収集後の論文化や、学会発表等の成果の発表について、スムーズに行えるよう必要な知見を予め得ておく。
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