研究課題/領域番号 |
23K12779
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
家崎 萌 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (70908706)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 場 / 空間 / 美術 / 他者 / 美術教育 / 教員養成 / 共同制作 / コミュニケーション / コンフリクトに向き合う場 / リアルとバーチャル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「コンフリクトに向き合う場」に焦点を当てた教員養成課程における他者と共同する美術教育の教材を開発・検証するものである。教材開発には,中欧と米国の美術教育を手がかりとする。チェコ共和国カレル大学でのオープンフォームという理論を応用した実践では,異なる意図の他者と色や形をつくりかえながら場を共有するなかで互いのあり方を認識していく。米国で提唱されたCOILと呼ばれるモデルを用いた実践では,国を超えて学生が混成グループを形成し,オンライン空間を場として学ぶ。オープンフォーム発祥の中欧や国際教育を進める米国の美術教育の調査を基に,日本の教員養成における美術教育で有効な教材を開発・検証する。
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研究実績の概要 |
日米の学部生による生活空間のデジタルコラージュの共同制作プロジェクト「Shared Living Space」(2022年実施)を分析考察し、以下の論文①②にまとめ、発表した。 論文①:異文化コミュニケーションを促進するアートの役割に焦点を当て検証した。個人的なジオラマや共同制作のコラージュを通して、学生たちは個人的なストーリーやアイデンティティ形成に意味のあるオブジェクトを共有した。個人的な思い出や文化的なものを制作に取り入れることは、その場所に対する内面的な感覚(insideness)(Relph 1976)を呼び起こし、文化の違いを埋める効果的な方法であった。(共著,‘Building Intercultural Spaces through Co-Creation: Insideness in Shared Living Spaces’, Journal of Cultural Research in Art Education, 40(1)) 論文②:参加者の経験とプロジェクト設定の有効性に焦点を当てた。コミュニケーション・プロセスと学習者の振り返りのコーディング分析によると、参加者は最終的なグループワークのデザインに概ね満足しており、文化の境界を越えて共有される経験や記憶を育むオンライン・スペースの可能性が確認された。また、創造性を育むためのさまざまなグループダイナミクスや戦略も明らかになり、オープンなコミュニケーションと包括的な参加の重要性が示された。このような共同制作は、他者と芸術創作するスキルと理解を高めるだけでなく、有意義な異文化間コミュニケーションの促進を促す。(共著,「オンライン空間における日米大学生の共同デザイン制作「Shared Living Space」-制作プロセスの記録と学習者の振り返りの分析と考察-」、『鳴門教育大学研究紀要』、第39巻)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
順調な進捗状況として、①2023年12月から2024年2月にかけて、ノースカロライナ大学の教員と共同し、日本とアメリカの大学院生がオンライン空間で授業デザインを検討し合う実践を企画実施した。この内容は、次年度に予定していたものを前倒して行った。②2022年度に実施した日本とアメリカの大学生によるオンライン空間での共同制作とコミュニケーションについて、収集したデータに基づき学生の経験や教材の有効性について検証し、ノースカロライナ大学の教員と共同執筆で論文にまとめた。
進捗状況に遅れがある内容として、①国内外の大学等での実地調査を予定していたが、延期した。主な理由として、当該年度はじめに所属機関を異動したため、新たな授業カリキュラム作成や学内業務などに優先的に時間配分したこと、次年度に予定していた実践を前倒ししたため、スケジュールが変更になったことがある。
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今後の研究の推進方策 |
1 2023年12月から2024年2月にかけて企画実施した日米の大学院生によるオンライン空間で授業デザインを検討し合う実践について、学生間のコミュニケーションの記録や省察のテキストを基に分析を行い、成果と課題を抽出する。 2 国内外でCOILのオンライン学習やオープンフォームと関わる実践に取り組む大学等に実地訪問あるいはオンラインで取材調査をし、カリキュラムや授業の実際の先行事例を収集する。 3 1、2の成果と課題、選考事例を踏まえつつ、修正案を反映させた教材整備や教材開発をすすめる。
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