研究課題/領域番号 |
23K12781
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
山本 将之 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (60838879)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 造形あそび / 幼児造形 / 造形表現 / 指導法 |
研究開始時の研究の概要 |
誰もが確かな知見を得て子ども主体の保育に臨めることができるよう、先例の少ない多様な造形あそびを開発し、実際の保育現場での実践を通して造形あそびの指導法を確立する。 令和5年度では、現状の造形あそびの題材を文献調査及び実地調査により浮き彫りにし、種類ごとの分類化・体系化を行う。 令和6年度では、前年度の成果を基に多様な造形あそびの開発と実践に臨む。特に素材研究に注力し、安価で大量に入手可能な素材を選定し、教育への転換方法を検討する。 令和7年度では、前年度に実施した一つ一つの保育の流れを丁寧にまとめ、「子ども主体」に係る指導の普遍的要素を抽出し、この体系化を図る。
|
研究実績の概要 |
本研究は、先例の少ない多様な造形あそびを開発すること、ならびに保育現場での実践を通したメソドロジーの確立を目的としている。具体的な研究の方法は次の通りである。1現状の造形あそびの整理、2先例の無い造形あそびの開発、3保育現場における造形あそびの実践、4造形あそびの指導方法の体系化。4については研究最終年度での実現を目指しており、2023年度は1-3を進めた。 1について、現状の造形あそび題材について文献調査及び実地調査を進めた。2023年度に調査した造形あそびについては保育現場での実践(3に該当)も行なっており、造形あそびの指導法に関する考察が進んでいる。 2について、風船を用いた先例の無い造形あそび「風船ドングリ」を開発した。造形的な風船あそびの代表例には「風船クッション」のような感触あそびが挙げられる一方、構成あそびとして風船を活用する実践事例は調査の限り見当たらなかった。そのため、風船を構成あそび的に活用するための具体的な保育指導案を検討し、保育現場での実践を経て、その有用性を考察した。この研究成果は大学造形美術教育研究 (22)において、『新しい風船のあそび方「風船ドングリ」の提案と実践』として発表した。 3について、研究協力園で継続的に造形あそびを実践することによって、造形あそびの指導法に関する検討を重ねている。造形あそびの実践で使用した具体的な素材及び対象年齢は次の通りである。4・5歳児を対象とした紙コースターとジョイントクリップを用いた造形あそび(5/26実施)、3歳児を対象としたモールとスタイロフォームを用いた造形あそび(6/30実施)、4・5歳児を対象とした孔版ボードと木ダボを用いた造形あそび(7/28実施)、3・4・5歳児を対象とした紙コップとカラースティックを用いた造形あそび(8/25実施)、4・5歳児を対象とした風船を用いた造形あそび(11/22実施)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で記した1-3の研究活動において一定の成果が得られており、進捗状況は概ね順調であると言える。1について、現状の造形あそび題材に関する文献調査及び実地調査が進んでおり、この成果を反映する実践研究(2・3に該当)にも着手することができた。特に2の「先例の無い造形あそびの開発」については、2024年度の実施計画を繰り上げる形で2023年度に始動することができた。なお、この成果は大学造形美術教育研究 (22)において、『新しい風船のあそび方「風船ドングリ」の提案と実践』として論文発表している。また、指定保育士養成施設に所属する複数の造形担当の研究者と情報交流を重ねており、造形あそびに活用可能な素材の選定が進んでいる。具体的にはスパイラルチューブやコーナークッションなどの安価で再利用可能な素材が候補として挙げられており、これらの素材を用いた造形あそびの題材開発を次年度に進める予定である。3の「保育現場での造形あそびの実践」については、実践した一部の保育を第26回絵本学会大会ラウンドテーブル「つながる:子どもの造形遊びと絵本」において口頭発表しており、研究の示唆を仰いでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要において記した2・3について、前年度の1の成果を基に多様な造形あそびの開発と実践に臨む。特に素材研究に注力し、安価で大量に入手可能な素材を選定する他、教育への転換方法を検討する。また、十分な実践数を確保するために複数の近隣園での保育に臨む。研究実績の概要において記した4については2025年度での実現を目指しているが、2024年度においてもこれまでに実施した一つ一つの保育の流れを丁寧にまとめ、「子ども主体」に係る指導の普遍的要素を抽出し、この体系化を進めたい。これにより指導法の観点から造形あそびの意義を明らかにし、個別の造形あそびの方法論をまとめるための基盤を整える。上記の研究成果については全国大学造形美術教育教員養成協議会や大学美術教育学会等において、学会口頭発表や論文投稿を行い、研究成果を公表することで研究の示唆を仰ぐ。
|