研究課題/領域番号 |
23K12783
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 桃山学院教育大学 |
研究代表者 |
八木 利津子 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (00780313)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 生活安全 / 多世代交流 / 登下校 / 小学生 / 地域ボランティア / 大学生 / 学校安全 / 共育活動 / 防犯 / アセスメントシート |
研究開始時の研究の概要 |
新しい生活様式において子どもが被害者や加害者となる事件が増加傾向にある。そこで、事前の危機対応を研究の主眼に置き、子どもを取り巻く多様な立場や領域の人材を活用する「共育」をキーワードに系統的な防犯教育のあり方について各校種の実践例を通して考察する。この「共育」とは共に考え協働で問題解決をはかる教育法を指し、学校と地域が協働する持続可能な安全共育(防犯)計画や指導内容を明らかにする。そのために幼児児童生徒や教職員、地域住民を対象に得られたヒヤリハット事例を整理するとともに、申請者が提言するアセスメントシートを活用して、多世代交流型の防犯共育プログラムの策定や幼小中連携カリキュラムを構築する。
|
研究実績の概要 |
本年度の研究では、都心部児童館に在籍する小学校1年生~6年生を対象に大学生との協働学習において、防災・防犯意識を高めることを目途に実践した。とりわけ、障がいを有する児童を含む小学生を対象に教育的観点から、多世代交流型の授業プログラムの開発に向けて児童の社会的健康や危険回避能力の構築を目指し出前授業を試みた。主に8月と12月に1年~6年が在籍するA市内児童館の児童91名を対象に、教育活動計画と動画教材を提供して実践的に考察した。8月は、クイズや作業(ワーク)を用いた主体的な対話による学習内容を深めた。12月のグループワークでは、絵本をPDF化した壁新聞をモニターに投影し進めた。また、児童自ら作成した「合言葉」の達成策を共に考え、調べ学習の展開方法で安全マップ作りを行い、より豊かに安全生活を送る留意事項の意識づけを促した。 こうして多世代交流型による防犯学習を展開した結果、実践で培われる人との繋がりが、危機回避力の育成に影響をもたらした。特に、危険回避の知識と理解はクイズが有用で、大学生との話し合い活動では、相互の安全意識が高まる事例検討に至った。その中で、要配慮児童においては、授業後の理解度を問う質問紙調査結果から、本授業のねらいは概ね到達し、安全行動レベルの学びが得られた。 さらに、地域における登下校の見守り活動を学校と連携活動している小中一貫校を選定し、防犯教育に関する確認事項について教職員と地域ボランティアを対象に申請者が提案したアセスメントシートを用いて意識調査を行い、今後の見守り体制のあり方について現状と課題を検討した。その結果、地域ボランティアと教員の比較から明らかな有意差はみられなかったが、「防犯活動の意義と目的」の質問項目においては、地域ボランティアが教員に比べて最大値が上回り、目的や活動意義を理解しようとする意識が高いことを把握した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備考察として、地域と学校の協働によって子供たちを取り巻く地域の安全を担保するために、13自治体の防犯を中心にした見守り活動に関する取組例から現状と課題を把握した。その課題を踏まえて、防犯教育活動の評価票(アセスメントシート)を作成した。実際に、地域と学校の連携活動の強化に向けて教育的視点から自己評価について、小中一貫校の地域ボランティアと教職員の比較検討の調査を実施した。加えて、児童館や小学校の在籍児童のヒヤリ・ハット傾向に着目し、学校と地域が協働する持続可能な健康教育のあり方を探るために、学校に導入しやすい多世代参画型の安全共育プログラムの構築を目指した。そして、登下校の安全意識の向上を意図した防犯教育を中心に安全共育プログラムの一貫として、大学生による出前授業を計画し、大規模児童館内において夏季休業中と冬季休業中を利用して段階的な教育実践に至った。
|
今後の研究の推進方策 |
研究成果の展望として児童館のスタッフや館長からの提言を踏まえて、警察署とのコラボレ-ションを視野に地域のパトロール隊の方々を広く巻き込み、児童たちと共に拡大安全マップづくりの取り組みを進めていく。また、児童や教職員の他に地域住民を対象に「ヒヤリハット体験」の確認など実態調査を行う。同時に現地の危険箇所に関する取材を重ねて、学校園と地域が協働する「幼保小中と地域連携カリキュラム」を構築し、成果物としての公表を検討している。さらに、要配慮児童に対しては、視覚的教材として独自のシナリオにて絵本のデジタル化を念頭に個別対応と集団指導において活用できる教材改善に努める。これらの教材を活用して、系統的に持続可能な防犯共育プログラムの構築を図り実践的検証を行う。
|