研究課題/領域番号 |
23K12784
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 桃山学院教育大学 |
研究代表者 |
守谷 富士彦 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 講師 (30908017)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 社会科教育 / 教科書 / カンボジア / 国際教育開発 / 国際協力 / 成人教育 / 専門性開発 / 教育改革 / 研修開発 |
研究開始時の研究の概要 |
民主主義国家の市民育成の中核科目である社会科教育を国際教育開発することは、途上国の内発的発展や民主化促進が期待できる。 本研究は、民主化の過渡期にあるカンボジアを事例に、社会科でどのように国際的に協力して教育を開発すれば途上国の内発的発展を促せるのか?を解明する。 ①社会科に関連する国際協力事業を調査し、動向と課題を明らかにする。 ②申請者が関わった国際協力機構(JICA)事業の研修効果の追跡調査を行う。 ③成人教育論に基づく研修を開発・実施し、その効果を明らかにする。 本研究の成果は、自国文脈に合わせて自律的に教育改革を進められる教育専門家の専門性を開発できる研修モデルとして提案し、広く発信する。
|
研究実績の概要 |
2023年度の研究実績は、次の四点に集約される。 第一に、カンボジアにおける社会科教育に関連する国際協力事業の調査を実施した。具体的には、カンボジア教育省カリキュラム開発局や教科書執筆者3名に、過去の研修内容やその成果について聞き取りを行った。 第二に、JICA事業研修を受けた現地の教育専門家への聞き取り調査を実施した。具体的には、研究代表者がかつて従事したJICA事業の参加者(教育省カリキュラム開発局職員,教科書執筆者,プノンペン教員養成大学教員,国定教科書出版会社等)にプロジェクト実施後の教科書開発動向と研修の活かし方について聞き取りを行った。 第三に、授業研究研修の開発・実践のための関係性構築を推進した。 第四に、本年度の段階で、以下のような暫定的な成果を確認し、学会発表を行った。 (1)カンボジア教育省カリキュラム開発局における社会科教育に関連する国際協力の経緯が明らかになった。多様な国・組織が事業で断続的に支援をしているが、「する側」の目的や方法で実施されるために系統性に課題が見られた。また、「受ける側」の研修経験が共有困難であること、研修参加者と改革実務者の不一致が発生していたことなどが明らかになった。(2)コロナ禍の中断がありながらも、カンボジア現地では社会科教科書開発が着実に進んでいた。研修の学びを教科書改訂や歴史領域の新教科書モデル開発に活かす語りと動きがみられたほか、研修の成果を教育関連機関と共有する中で連携が生まれ始めていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年次は、カンボジア教育省に対する社会科教育に関連した国際協力事業を調査し、その成果は2023年6月の日本比較教育学会で発表した。しかし、カンボジアに限らず世界中の途上国に対する社会科教育に関連した国際協力事業を探索することが必要であり、その進捗に課題が残った。また、カンボジア・プノンペン特別市の教育省や学校の主な対象先へ訪問して教科書開発に関する聞き取り調査を実施でき、その成果は2023年11月の全国社会科教育学会で発表した。この調査は継続的に行う必要がある。 このように、おおむね計画通りの進展で、成果と課題が明らかになっている。
|
今後の研究の推進方策 |
2年次は、以下の研究を推進する。 (1)社会科教育に関連する国際協力事業について、カンボジアに限らず世界中の途上国を対象とした事業を探索し、その研修成果・研究成果の動向と課題を明らかにする。 (2)カンボジア教育省が開発を進めている教科書を翻訳し、その社会科カリキュラムの特質を分析する。過去のカンボジア社会科教科書やナショナルカリキュラムの分析も同時に進め、その比較を通して変容過程を明らかにする。 (3)授業研究の研修開発・実施に向けて、現地教育関係者との関係構築をさらに進め、現地のニーズ把握の質問紙調査・聞き取り調査を進める。
|